陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備手続きが突然停止となり、弾道ミサイル防衛(BMD)の行方に自衛隊が揺れている。BMDについては海上自衛隊のイージス艦を核とする従来の態勢が維持される方針だが、イージス・アショア配備の狙いの一つだったイージス艦乗組員の負担軽減という課題は手つかずのまま残る形となった。
周辺国から弾道ミサイルが飛来すると、近海に展開する海自のイージス艦がまず迎え撃ち、迎撃用ミサイル「SM3」によって大気圏外で撃ち落とす。撃ち漏らした場合は、日本列島に配置した航空自衛隊の地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」によって高度十数キロで対処する。北朝鮮がミサイル発射を繰り返すなど日本周辺で脅威が高まる中、この「二層防護」では不十分だとして、政府が2017年12月に2基の導入を閣議決定したのがイージス・アショアだった。イージス艦の迎撃能力を地上にも配備するもので、安倍晋三首相は国会答弁で「24時間365日、切れ目なく防護する能力を抜本的に向上させる」と導入理由を繰り返し述べてきた。
「アショア停止でBMD全体にどんな影響が出るのかまるで読めない。防衛省全体で整理しないと先に進めない」。海自幹部は、配備手続きの停止を明らかにした15日夕の河野太郎防衛相の発表に戸惑いを隠さない。
海自のイージス艦は21年春に新たな1隻が就役し、目指してきた8隻態勢になる。イージス艦は、航空機や対艦ミサイルへの高い対処能力を持つ。その能力ゆえに近年追加されたのがBMDの任務だ。定期整備に回る2隻程度を除き、交代しながら数隻が海上にとどまり、発射の兆候が読みにくい弾道ミサイルへの警戒を年間を通じて続けている。目標海上と母港との行き帰りのほか、BMDの任務中にできない各種訓練、監視などBMD以外の任務にも取り組む必要がある。こうした現状について、18年版防衛白書は「長期間の洋上勤務が繰り返されることとなり、乗組員の勤務環境は極めて厳しい」と記している。海自関係者は「慢性的な人員不足もあり、必要な訓練や休みを削ってBMDに対応せざるを得ない。張り詰めた状態が続き、疲れが取れにくい」と明かす。
今回の手続き停止について、海自内では「具体化していないアショアをあてにしていなかったが、先が読めなくなった」「アショアに代わる妙案なんてあるのか。現場は与えられた任…
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