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「本当の戦後を迎えたい」空襲被害者が救済法案の早期成立を訴え 国会内で会見

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国が民間人空襲被害者に対し「謝罪と補償を直ちに実行してほしい」と記者会見で訴えた東京大空襲で孤児となった吉田由美子さん=東京都千代田区の衆院第2議員会館で2020年6月17日、後藤由耶撮影

 第二次世界大戦で戦災に遭い、国に補償を求めて活動している人たちが作る「全国空襲被害者連絡協議会」が17日、国会内で記者会見を開いた。戦争体験者の高齢化が進む中、特別給付金の支給などを柱とする援護法案の早期成立を訴えた。

 法案成立を目指していた通常国会が、この日閉会となったことに合わせての会見で、約30人が参加した。同会共同代表の吉田由美子さん(78)は東京大空襲で両親と妹を失い、孤児になった。「米軍のB29爆撃機が落とした焼夷(しょうい)弾で民間人の命が奪われたのは間違いありませんが、国策を誤った日本政府にも殺されたと思っています」などと国の責任を指摘。さらに「過去、何回も廃案を繰り返してきた援護法は、今国会で法案が提出されることを強く望んでおりました。私たちは本当の戦後を迎えたいのです。私たちが使える時間にゆとりはありません」などと速やかな立法を訴えた。

 また大阪空襲国賠訴訟の原告団代表世話人だった安野輝子さん(81)の手紙も紹介された。6歳の時、空襲で左足の膝から下を奪われた安野さん。「戦争は地震や台風のように自然に発生するものではなく国、人間が起こす人災です。始めた以上後始末をするのは当たり前で、責任は国にあります」

 運動の長期化とともに、中心メンバーが次々と亡くなる中、同会は次の国会での法案成立を目指し活動を続ける。

 戦争で被害を負った元軍人・軍属らには、国が累計で60兆円の補償や援護をしてきた。だが、米軍の無差別爆撃で被害に遭った民間人には、国が雇用していなかったことなどを理由に拒んできた。70~80年代に計14回、当時の野党が国会に民間人を対象とする「戦時災害援護法」を国会に提出したが、いずれも廃案になった。

 また名古屋や東京、大阪大空襲などの被害者たちが国に補償を求めて提訴したが、2014年までに全て最高裁で原告敗訴が確定している。一方で、多くの判決が原告の被害を認定し、解決の主体を立法府とした。このため被害者たちは立法に期待を寄せている。

 全国空襲連は国賠訴訟の原告らが10年に結成した。法廷闘争の一方で立法による解決を目指してきた。11年には援護法の成立を目指す超党派の国会議員連盟が発足。17年には議員立法の骨子素案も固まった。対象は空襲などで障害やケロイドを負った人らで、生存者1人当たり一律50万円を支給するのが柱だ。

 非障害者や死者は対象外で、「金額が低い」「対象が狭すぎる」など、会員の中にも不満の声がある。立法の可能性を優先した結果で、多くの人が対象にならない。その一人である吉田さんは「いずれは国が何らかの手を差し伸べてくれると思う」と話した。【栗原俊雄】

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