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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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ロンドンが近代世界を代表する大都市に…

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 ロンドンが近代世界を代表する大都市になった大きな節目とされるのが、1666年のロンドン大火という。4日間にわたり燃え続けた火災は、主に木造だった市内の家屋の9割近くを灰にしたという▲この大火前年のロンドンはペストの大流行により、8万人近い死者を出している。まさに踏んだり蹴ったり、とんでもない災厄(さいやく)の連続だった。だが、この惨禍(さんか)からの復興で木造の建築が禁止され、広い道路や下水道の整備が行われる▲再生したのは火災に強く、衛生的な近代都市ロンドンだった。市民は疫病と大火という歴史的な大災害から新たな時代の文明の拠点を作り出したのである。こんな故事をも思い起こしたくなるコロナ禍さなかの東京都知事選である▲約1144万票を争う都知事選がきょう告示され、来月5日投開票となる。政策よりむしろ候補者のキャラクターが注目されるのは毎回のことで、今回も見せ場作りにたけた現職に、いずれもキャラの立つ有力候補が挑む選挙となる▲むろん感染防止、そして経済・生活支援両面でのコロナ対策や東京五輪への対処などで論戦が交わされよう。加えて聞きたいのは、コロナ禍の衝撃が今後の巨大都市文明をどう変えていくか、そんな射程の大きな問題への見識である▲思えば感染症だけでなく首都直下地震という巨大災害にいつ襲われてもおかしくない東京である。都民の命と暮らしを守り、それを次の時代の都市のあるべき姿につなげる。今必要なのはそのような都政だろう。

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