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中性子線当て、がんだけ破壊 頭頸部治療、「純国産」技術で開始

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ホウ素中性子捕捉療法
ホウ素中性子捕捉療法

 がんの患者に中性子線を照射して、がん細胞だけを選択的に破壊する「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」による頭頸部(とうけいぶ)がんの治療が6月、世界に先駆けて国内で始まった。開発に約半世紀をかけた「純国産」技術で、既存の方法に続く治療法として期待される。

 中性子線は放射線の一種だが、BNCTは従来の放射線治療とは仕組みが異なる。このため、手術▽抗がん剤▽放射線▽がん免疫療法――に続く治療法にと期待されてきた。1回の照射で高い効果が見込まれ、副作用も少ない。再発がんなど治療の難しいがんに有効な場合もあるとされる。

 2020年3月、ホウ素薬剤「ステボロニン」(ステラファーマ社)と、病院などの施設でも中性子線を生み出せる加速器「ニューキュア」(住友重機械工業)の製造販売が国から承認され、6月までに公的医療保険の適用を受けた。現在、設備のある南東北BNCT研究センター(福島県郡山市)と関西BNCT共同医療センター(大阪府高槻市)で治療が可能だ。

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