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前法相と妻、前例なき「金権選挙」 半年で94人2570万円、なりふり構わず

公職選挙法違反事件の構図

 自民党から立候補した参院議員の河井案里容疑者(46)=広島選挙区=が初当選した2019年参院選を巡り、東京地検特捜部は18日、夫で前法相の衆院議員、克行容疑者(57)=自民・広島3区=と案里容疑者(いずれも離党)を公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕した。法務行政のトップを務めた前法相と妻の現職議員2人が逮捕される前例のない選挙違反事件に発展した。捜査の課題や事件の背景を探った。

 河井夫妻は地元議員や首長に加え、後援会や陣営の関係者ら計94人に幅広く現金を提供した疑いがあり、総額約2570万円に及ぶ金額とともに、事件の特徴はその規模の大きさにある。配布時期も、案里議員が党公認を得た19年3月から参院選後の8月までと長期に及んだ。特に統一地方選があった広島県議・市議らには「陣中見舞い」や「当選祝い」と称して配った形跡があり、特捜部はこれら一連の現金提供が案里議員の票を取りまとめる趣旨だったと立証する必要がある。

 検察当局は夫妻の事務所などを家宅捜索し、現金の配布先が記されたリストを押収。これに基づいて20年3月下旬から地元議員らを一斉聴取し、裏付けを進めてきた。大半は選挙支援を依頼する趣旨だったと認めたとみられるが、夫妻は容疑を否認しているという。現金提供の事実は認め、政治資金規正法に基づく政治団体間の寄付だったと主張している可能性もある。

 ただ、こうした寄付の場合は同法が義務付ける領収書を発行し、収支報告をする必要があるが、そうした処理をした議員は少ないとみられる。特捜部は議員らに対し、夫妻から票の取りまとめを依頼する文言があったかどうかや領収書の発行の有無など詳細な状況を確認。事情聴取の様子も録音・録画するなどして慎重に証拠を固めて公判に挑む考えだ。

 現金の受け取りを拒否したり、初めて提供されたりした議員も少なくない。ある捜査関係者は「『不正な金かも』という理由で拒まれたケースが多いなら、夫妻が違法性を認識していた疑いも強まる。初めて渡した相手には、なぜ案里議員が立候補した今回から現金を提供したか、その理由を問われることになる」と指摘。特捜部はこうした関係者からも事情を聴き、夫妻が否認したままでも起訴に持ち込めるよう捜査。事情聴取は100人を大きく超えたとみられる。

 事件の舞台になった広島選挙区(改選数2)では、6選を目指した溝手顕正・元防災担当相(落選)を推す県連の頭越しに、2議席独占を狙った党本部が案里議員を擁立。苦戦が予想された陣営に対し、党本部から夫妻がそれぞれ支部長の政党支部に溝手氏側の10倍に当たる計1億5000万円が提供されたほか、安倍晋三首相の秘書らも選挙支援に回るなど、党本部の力の入れようが見て取れる。

 1億5000万円が買収資金になった可能性もあるが、同法上、党本部から政党支部への資金移動には量的制限がなく、今後公表される…

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