北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キムヨジョン)党第1副部長のパワーがすさまじい。「白頭(ペクトゥ)の血統」でつながる彼女は陰に陽に兄を支えてきたが、ここにきて韓国との融和の象徴だった開城(ケソン)にある南北共同連絡事務所の破壊を指示するなど不気味なほどに存在感を強めているのだ。だが、そこには伏線があった。知られざる与正氏の素顔に迫る――。
幼いころはふっくらし、どこか祖父、金日成(キムイルソン)主席の面影がある与正氏、そんな彼女を唯一、外部世界で知るのは父、金正日(キムジョンイル)総書記の料理人だった藤本健二氏だ。私は与正氏について彼から何度も聞いたことがある。1987年9月の生まれと言っていた。「ものすごく闊達(かったつ)で、明るく、いわゆるおきゃん娘ですよ。ヨジョン姫を見ていると、つい心がうきうきしてくるんです。私のつくる特製…
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