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藻谷浩介・評 『芝居小屋戦記 神戸三宮シアター・エートーの奇跡と軌跡』=菱田信也・著

『芝居小屋戦記 神戸三宮シアター・エートーの奇跡と軌跡』

 (苦楽堂・1760円)

 「日本人は、5W1Hの中で、Hばかりに興味を示す」と書くと、まるで三流記事の客寄せ見出しだが、しかし評者が多年痛感していることなので、そのまま続ける。

 When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(どうして)、という肝心な五つのWをすっ飛ばして、いきなりHow(どのような手段で)に入ってしまうというのは、もう日本人の国民病ではないかと思うのだ。

 最近だとマスクである。何に対する(What)、どのような効果を狙っての(Why)マスクなのか、なんてことはどうでもよくて、「とにかく怖いからマスクをする」という手段(How)に皆が集中した結果、着けた本人の感染防止にはならなかったが、自分が持っているかもしれないウイルスを他人にうつす機会は大幅に減らせた。手段と目的が転倒し、かえって結果オーライという、「日本あるある」である。

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