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余録

ふたを開けた途端…

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 ふたを開けた途端、目に飛び込む色、色。何を描こうかな。小さな手にクレヨンを握って画用紙に向き合う時の、胸が躍るような気持ちは今でも思い出せる。さて、あの男の子の心境はどうだっただろう▲プロ野球・楽天イーグルスのオコエ瑠偉外野手が「親の似顔絵を『はだいろ』で塗るよう言われ、涙ながらに茶色のクレヨンで塗った」と、5歳の頃の体験をツイッターで明かした。その後も、ナイジェリア人の父親から受け継いだ褐色の肌が「普通でない」ことに苦しんだ▲クレヨンや絵の具の「はだいろ」は、2000年前後に各社が相次いでその呼び名を変更した。今の子どもたちの間では「ペールオレンジ」「うすだいだい」などの名で定着しているはずだ▲「どうして私は『はだいろ』じゃないの」。1998年11月17日付読売新聞に、ある女性の投書が載っている。ケニア人の夫との間に生まれた4歳の娘が、お絵かきの手を止めてこう尋ねたという。ショックを受け、メーカーに変更を働きかけた。業界が動いた背景には、こうした当事者の声があった▲いまの日本のクレヨンは大正時代に生まれた。西洋のパステルを、子どもにも扱いやすく改良した。「クレパス」の名で初めて発売したサクラクレパスによると、模写が中心だった図画教育は、これをきっかけに自由に描かせる流れに変わった▲オコエ選手の投稿には、20万件近い賛同が寄せられている。あのとき画用紙に落ちた涙は、カラフルに彩られて人々の心に届いた。

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