香港「高度な自治」、のみ込む中国 治安も掌握 国家安全維持法案可決へ

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中国全人代で香港への国家安全法制新設について投票する習近平国家主席=北京で5月28日、AP
中国全人代で香港への国家安全法制新設について投票する習近平国家主席=北京で5月28日、AP

 香港の統制をさらに強化する「香港国家安全維持法案」が、早ければ28~30日に北京で開かれる全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会で可決される見通しとなった。中国紙「環球時報」(英語電子版)が21日報じた。中国は中央政府直属の治安維持機関を香港に設置し、香港政府に顧問も送る。香港では、中央から来る人物が治安維持部門の事実上のトップになるとの懸念が強まっている。

中国側に主導権、明確に

 法案は66条で構成され①国家分裂②中央政府転覆③テロ行為④外国勢力との結託――の4犯罪を定める。香港では「『独立』を掲げれば拘束されるのか」「習近平国家主席を批判すると逮捕されるかも」といった不安が広がっている。

 香港の法律と矛盾した場合、維持法を優先させその規定を適用するとの付則もあり、中央に主導権があることが明確にされている。

 「(治安部門で)行政長官を上回る機関が設置されることになる」。常務委が20日に法案の概要を公表すると、香港大の陳文敏教授(公法)は香港メディアにそう指摘した。

 法案によると、中央政府が香港に設置する治安維持機関「国家安全維持公署」が、国家の安全に関する「関連の権力を行使」する。香港政府に設置される「国家安全維持委員会」は行政長官がトップに就くが、中央政府から「国家安全事務顧問」が派遣される。

 陳氏は「香港政府は中央政府の指導に服従するだろう。これが『高度な自治』なのか」と問題視する。

 また「特定の状況下」においては中央政府に「管轄権」があるとする。常務委委員で香港親中派の重鎮、譚耀宗氏は20日、「管轄権には、逮捕した容疑者を中国本土の法廷で裁くことも含まれる」と述べた。

 香港政府は2019年、香港で拘束した容疑者を中国当局に引き渡す「逃亡犯条例」改正案を提案したが、大規模デモを受けて撤回に追い込まれた。維持法は改正案と同じ役割を担う可能性がある。また、譚氏は維持法の刑罰は「禁錮3~10年」との見通しを示した。

 国家安全に関わる犯罪を審理する裁判官は、行政長官が指名するとしており、行政の介入が前提だ。香港の弁護士らは「1国2制度で保障された司法権の独立が損なわれ、三権分立の破壊だ」と批判している。

 法案には国家安全を巡る学校などへの監督・管理の強化も盛り込まれた。こ…

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