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入管・難民問題

国外退去処分になった外国人の入国管理施設での扱いが注目を集めています。難⺠に厳しいと言われる日本。人権は守られている︖

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「難民鎖国」は今

拒否率99.5%の高い壁 難民申請支える弁護士に窮状を聞いた

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東京入管で4月に起きた複数の女性収容者の制圧について、関係者から聞き取った内容を説明する駒井知会弁護士=東京都千代田区の参院議員会館で2020年5月13日午後2時5分、和田浩明撮影
東京入管で4月に起きた複数の女性収容者の制圧について、関係者から聞き取った内容を説明する駒井知会弁護士=東京都千代田区の参院議員会館で2020年5月13日午後2時5分、和田浩明撮影

 母国に帰りたい。でも、命の危険があって帰れない――。難民としての保護を求める人たちが日本で直面するのは、拒否99.5%超のあまりにも高い難民認定の壁だ。退去命令を拒めば無期限で入管施設に収容され、心や体を壊す人も少なくない。日本は難民条約を批准しており、難民や難民申請者を保護することが法的に義務づけられている。果たして彼らの人権は守られているのか。長年支援にかかわる駒井知会弁護士(47)に、現状を聞いた。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

保護求めて来たのに……心、体むしばむ長期収容

 ――難民認定申請者を含む外国人の長期収容が続いています。

 ◆私が代理人になっているアフリカ・コンゴ民主共和国出身の女性は収容されて2年以上たっています。母国では政府に弾圧されている分離独立主義の政治的宗教団体のメンバーでしたが、身の危険を感じて2008年に日本に逃れて来ました。在留資格を得て仕事をしながら難民申請をしましたが認められず、18年初頭に収容され退去強制令書発付処分を受けました。現在、東京出入国在留管理局(東京都港区)に収容されており、難民不認定処分に対する審査請求中です。

 今年4月25日、女性は「仮放免」若しくは解放を要求するプラカードを持って責任者との話し合いを求め、静かに抗議活動をしました。しかし、自室に戻る指示に反したとして制圧され、その後、隔離されました。この過程で、職員からセクハラまがいの、人としての尊厳を傷つける発言をされたと訴えています(入管側は否定)。

 長期の収容で精神的にかなり消耗しています。危ないから帰れないと主張し続けているのに、入管からは「帰れ」と言われ続けています。コンゴ民主共和国については、英国などでは、送り返された元難民申請者が後に拷問されたり逮捕されたりしているという報道も出ています。保護が認められず、人間としての尊厳をはぎ取られ、精神的にゆっくりと蹂躙(じゅうりん)されているようなもので、面会するたびに泣き出します。

 それでも、「先生、新型コロナウイルスに負けないでね、大丈夫なように私が毎日祈っているから」とも言ってくれます。優しい人です。心配なのは、最近は入管で出る食事が受けつけられなくなってきていることです。

 現在、コロナ禍で感染リスクを下げるため、狭い部屋に複数の収容者を入れるなど「3密」環境を回避しようと、入管は仮放免者の数を増やしています。しかし、その数も不十分ですし、東京オリンピックの開催が近づいていた昨年後半ごろまでは、仮放免が出るまでの期間が徐々に長期化し、3年、4年という収容期間の人が珍しくない状況でした。残念ながら、現状でも長期収容の人たちは少なくありませんが、昨年は、収容者の中に抗議のハンガーストライキを行う人も多数出ました。また、長期収容に伴う心理的影響は大きく、昨年6月には食事ができなくなり餓死に至ったナイジェリア人男性もいます。

 これまでには、何年も収容され、2週間だけ仮放免されてまた収容されるようなことも行われています。面会に行くと衰弱しきった様子で車いすに乗って現れ、「固形物が食べられず血を吐いている」と訴える人もいます。

 私が代理人になっ…

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