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悪い予感的中 重なる13年前の苦難 障害者施設のクラスター乗り越えるまで

北総育成園でPCR検査の検体を採取する千葉県職員。感染の疑いがある施設職員の家族らには、自家用車を乗り付けてもらう「ドライブスルー形式」で行った=千葉県東庄町の北総育成園で2020年4月17日午後0時1分、黒田阿紗子撮影

 全国各地で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)の発生が相次ぐ中、知的障害者の入所施設でも感染が広がり、関係者の苦悩が続いた。入所者や職員など121人が感染した千葉県東庄町の障害者支援施設「北総育成園」などが直面した課題や今後の備えを探った。

PCR検査で「58人陽性」

 北総育成園の副園長、白樫久子さん(55)が異変に気づいたのは3月27日の朝だった。起床時に普段と様子が違う入所者を職員が検温したところ、6人が発熱していた。昼までに発熱者は十数人に膨れ、嘱託医に往診を依頼。インフルエンザを疑い検査をしたが、全員が陰性だった。

 その直後、数日前から体調不良で休んでいた調理担当職員から電話が入った。

 「新型コロナの陽性でした。今から入院します」

 電話越しの涙声。「まさか」と一瞬信じられなかった。直後に保健所から連絡があり、翌日施設で症状のある入所者と全職員を対象に感染の有無を調べるPCR検査が行われた。「陽性58人」。夜、ファクスで送られてきた検査結果を見て膝から力が抜けた。

 千葉県船橋市が設置し、社会福祉法人さざんか会が運営を委託された北総育成園には20~80代の知的障害者ら70人が暮らす。普段は農耕などの作業をして過ごし、ショートステイや通所の利用もある。

意思疎通の難しさ

 感染症対策には力を入れていた。1日2回、手すりなどを消毒し、家族の面会や外泊も禁止に。職員には私用でも外出を控えることを呼びかけていた。

 だが、難しさもあった。入所者の多くは体調不良を言葉で伝えられない。マスクも着けられない。顔に触れる違和感などで外してしまうからだ。職員のマスクさえ、表情が見えなくなる不安からはがしてしまうこともある。食堂には大勢が集まって食事をする。歯磨きや排せつなどの介助で職員と触れ合う機会も多い。本来、「密接」は避けられない環境にあった。

 感染はその日公表された。10キロほど東にある茨城県内の障害福祉サービス事業所は即座に自主休業を決めた。ある利用者が1週間前、北総育成園を1泊2日のショートステイで利用。2日間来所した後、発熱で休んでいたからだ。

 悪い予感は的中した。後の検査で利用者の陽性が確認され…

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