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東京へ ともに歩む

毎日新聞

昨年のプレミアリーグ東京大会で連続して技を繰り出す清水希容=東京都千代田区の日本武道館で2019年9月、宮間俊樹撮影

東京・わたし

金メダル候補が自粛期間に挑戦して得たもの 空手・清水希容

 空手の形女子の東京オリンピック代表、清水希容(26)=ミキハウス=は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、4月から約2カ月間自宅での練習を余儀なくされた。練習場までの往復時間がなくなった分、新たなことに挑戦する時間ができ、発見もあったという。外出自粛期間中の過ごし方や来夏に延期となった東京五輪への思いを聞いた。【聞き手・松本晃】

 ――新型コロナウイルスで外出が制限される中、練習はどうしていましたか。

オンラインでコーチの指導を受ける清水=本人のインスタグラムから

 ◆緊急事態宣言が出た2カ月前から、基本的にはほぼ外に出ずに家で練習をしていました。基本的に自分で稽古(けいこ)をして、コーチにオンラインで練習を見てもらいました。ちょっとした重りとか、シャフト(棒)を使ってトレーニングもしていました。外に走りに行くのも(感染の)リスクがあるので、室内用のトレーニング自転車を買ってクールダウンで30分くらいこいでいました。

 ――空手の練習内容に変化はありましたか。

 ◆練習場までの移動は往復で2時間半かかかるので、その分練習できます。帰る時間を気にせず、やりたいところまでちゃんと練習できるようになりました。これまでは6時間くらいでしたが、多い日は8時間練習しました。形の稽古より突きや蹴りの基本練習に重きを置きました。今まで大会が多いとなかなか基本練習をしていても、触りきれない部分がありました。自分の癖を徹底的に見直すことをメインに練習しています。

 ――今まで気づけなかった課題の発見はありましたか。

 ◆大会前にコーチからこういうところを意識した方がいいと言われて分かってはいても、余裕がなく、直せていませんでした。今は試合に追い詰められていないので、こういう癖があるから、無駄な動作になったり、力の伝わり方がうまくいっていなかったという気づきがほぼ毎日あります。例えば、左の体重の乗り方に比べて、右側がちょっと外(側の)乗りになって力が外に逃げたりとか、正しいフォームができていなかったりということがありました。大きなぶれにつながるので、細かい感覚はすごく大事です。

 ――コーチからオンラインで指導を受けてどう感じましたか。

 ◆タイムリーに相談でき、練習できるのはメリットだと感じました。デメリットは体の内側の筋肉、感覚は実際に見ないとわからないところです。技のタイミングに合った呼吸の使い方などを見てもらうのは難しい。

書道に挑戦、動画で基礎トレ公開

 ――時間ができて新たに取り組んだことはありますか。

書道に取り組む清水=本人のインスタグラムから

 ◆以前からやりたいと思っていた書道にチャレンジしました。自己流で感じたままに書くだけですが、力み感だとか、緩急は空手に似ていました。空手の向上に通じると思います。空手の歴史とか、武士道に関係する本も読みました。読めば読むほど空手につながると感じています。技に直接取り入れるのはなかなか難しいですが、心の持ち方が勉強になります。

 ――写真共有アプリ「インスタグラム」で、子供たち向けに空手の基礎トレーニング動画を公開しました。

 ◆ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)をやっているので、自分なりに楽しく、チャレンジしたくなるような稽古を動画にしました。前向きに空手が楽しいという気持ちになってくれたらうれしいです。「やりました」「難しいです」とコメントを投稿してくれ、やりがいを感じました。新型コロナを機に、SNS上で普段応援してくれている人とつながれるのはうれしいです。逆に元気をもらいました。

 ――五輪が延期されたことはどう感じていますか。

 ◆1年時間が延びたことは成長できる時間をもらったとプラスにとらえています。どれだけ自分を奮い立たせ、成長させるかは自分にかかっています。この1年、無駄にするかプラスにするかはすべて自分次第。気を引き締めてやっていきたいと思います。1年間でもっともっと成長して、1年後の自分を楽しみに五輪を迎えたいと思います。

しみず・きよう

 大阪府出身。兄の影響で小学3年で空手を始め、東大阪大敬愛高3年時に全国高校総体で優勝した。2013年の全日本選手権を最年少の20歳で制し、7連覇中。2年に1度の世界選手権は14年と16年に2連覇を果たし、18年も2位に入った。得意の形はスピードと美しさが映える「チャタンヤラ・クーサンクー」。

松本晃

毎日新聞東京本社運動部。1981年、神奈川県生まれ。住宅メーカーの営業を経て、2009年入社。宇都宮支局、政治部を経て16年10月から現職。柔道、空手などを担当。文学部心理学科だった大学の卒論は「電車の座席位置と降りる早さの相関関係」。通勤に一時間半の今に生きているような、いないような。