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「万葉古道」を尋ねて

万葉の時代の暮らしを支えた「古道」。わずかな手掛かりを頼りにいにしえの道を尋ねます。

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交流・別れ・流浪/62 吉野/3 ホトトギスとウツギの初夏 /奈良

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吉野川右岸が吉野町宮滝、左岸中央が象山、左隣が三船山=奈良県吉野町で、栗栖健撮影
吉野川右岸が吉野町宮滝、左岸中央が象山、左隣が三船山=奈良県吉野町で、栗栖健撮影

 「吉野宮(離宮)」跡推定地の吉野町宮滝の南には、吉野川の対岸に象(きさ)山、その東隣に三船山がそびえる。二つの山の間の谷を流れる喜佐谷川(象の小川)沿いに吉野山へ登る道はかつて天川、黒滝方面の人が吉野川筋に出て伊勢参拝に行くため通った。この道を愛した万葉学者の犬養孝さんは「森林のあいだにひびくせせらぎの音をききながらゆく絶好の万葉の小道」と書いている。(「吉野町史上巻」1972年)

 5月、喜佐谷川沿いで白いウツギの花が咲いていた。背後の茂みの中でホトトギスが鳴いている。「テッペンカケタカ」と聞きなせる大きな声の主は雄だ。哀切とも感じられる声が、初夏の吉野地域では、夜間でも里周辺の山林から聞こえてくる。

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