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NHKは何を間違ったのか~米黒人差別の本質

NHK動画に厳しく抗議 偏った黒人像を作った「400年制度化された差別」

銃を構える州兵の前を、「私は人間だ」という公民権運動のスローガンを掲げて行進する人々=米南部テネシー州メンフィスで1968年3月29日、ゲッティ

 米国の抗議デモをめぐり、NHKのニュース番組「これでわかった!世界のいま」が発信したアニメ動画や番組内容が、黒人に対するゆがんだ固定観念(ステレオタイプ)を助長すると批判が集まった。かつては顔を黒く塗った芸能人が差別的だと批判されたこともある。日本人が失敗を繰りかえさないため、知っておくべきことは何なのか。NHKに対して今回の問題の経緯や再発防止策を明らかにするよう要望書を送った米国研究者3人に、話を聞いた。初回は、黒人の歴史を専門とする坂下史子・立命館大学教授(48)。米国の400年の歴史から、問題の根底に「制度化された差別」の存在を指摘する。【國枝すみれ/統合デジタル取材センター】

 ――坂下教授ら13人の研究者が呼びかけ人となり、NHKに要望書を送り、厳しく抗議しました。何が最もまずかった点ですか?

 ◆13人でアニメ動画だけではなく番組内容も確認し、いろいろと問題があると思いました。まず、動画には抗議デモが起こった直接のきっかけである警察暴力の話がでてこないため、誤解を招く。怒っている本当の理由がよく説明されていません。さらに、激怒する筋骨隆々の男性を登場させ、「粗野で、怒りのコントロールができない」という黒人に対する否定的な固定観念(ステレオタイプ)とくっつけてしまった。米国ではこうした偏った黒人に対するイメージが、不平等な社会の仕組みを維持するために使われてきた歴史があります。

 NHKは動画以外の部分でそれなりに背景説明をしたと考えているかもしれない。しかし、番組でも、黒人と白人の間に経済格差があり、新型コロナウイルスの感染拡大の中で働かざるを得ない黒人が白人よりも高い確率で感染し死亡したことで格差があらためて明確となり、そこへ白人警官によるジョージ・フロイドさんの拘束死事件が起こり、それに対する怒りが抗議デモにつながった、と説明するだけ。なぜ格差が存在するのか、なぜ警察の暴力があるのか、その説明が不十分でした。それらが黒人に対する「制度化された差別」に基づくものだという視点は、残念ながら番組に出てきませんでした。

 ――「制度化された差別」について詳しく教えてください。

 ◆黒人に対する差別は個人レベルの偏見だけが問題なのではありません。不平等な社会の仕組みが、本来根拠のない人種という考え方に基づいて強化され、維持されているのが問題なのです。奴隷制度、人種隔離政策、リンチ、警察の暴力、刑務所への大量収監――と、黒人を社会の底辺に据え置くための仕組みが時代ごとに形を変え、バトンタッチされるように続いています。

 番組のなかで、抗議デモの参加者が「400年間続いてい…

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國枝すみれ

1991年入社。英字新聞毎日デイリーニューズ編集部、西部本社福岡総局で警察担当記者、ロサンゼルス支局、メキシコ支局、ニューヨーク特派員を経て、2019年10月から統合デジタル取材センター。05年、長崎への原爆投下後に現地入りした米国人記者が書いたルポを60年ぶりに発見して報道し、ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

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