特集

入管・難民問題

国外退去処分になった外国人の入国管理施設での扱いが注目を集めています。難⺠に厳しいと言われる日本。人権は守られている︖

特集一覧

「難民鎖国」は今

「ジャパン・リスク」またたく間に拡散 日本に欠如する移民政策 指宿昭一弁護士

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
外国人長期収容の改善などを求める抗議デモの参加者=東京都港区で2020年6月20日、鵜塚健撮影
外国人長期収容の改善などを求める抗議デモの参加者=東京都港区で2020年6月20日、鵜塚健撮影

 日本の在留外国人は2019年末で約293万人と総人口の2%を超え、働く外国人も約165万人(同年10月)に達している。少子高齢化や人手不足から政府は19年4月、新たな在留資格「特定技能」を導入し、外国人労働者の受け入れ拡大にかじを切った。だが初年度の受け入れは3987人と想定していた4万7550人の1割にも満たない。背景には外国人労働者の人権無視の扱いや「人間」としての受け入れを図る移民政策の欠如があると、指宿昭一弁護士は指摘する。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

「労働力」としてのみ外国人を見る国

 ――日本の外国人受け入れの姿勢をどう見ますか。

 ◆市民社会、特に受け入れ実績がある地方自治体レベルでは、多文化共生のよい取り組みが広がっています。外国人労働者は敵でもかわいそうな人でもなく、仲間、友人隣人であり対等に付き合おうという考え方に基づく実践です。

 対照的に、国のレベルでは外国人を「人間」ではなく、「労働力」としてしか見ない姿勢は変わらず、状況はむしろ後退しています。低賃金、長時間労働や行動制限などが蔓延(まんえん)する技能実習制度が維持されています。外国人から年収の何倍にもなる金額を搾取するブローカー(送り出し機関)を温存する仕組みが続いています。

 新設された在留資格「特定技能」は、労働者に転職を認めています。特定技能には1号と2号があり、2号では、家族帯同や長期滞在が可能であり、多少の希望はあると思います。しかし、業種は建設と造船の2業種に限定されています。

 特定技能1号は家族帯同が認められず、滞在も5年までで、さまざまな問題がある技能実習の制度と地続きです。ブローカーの規制はないので、今後はびこるでしょう。結局、安価な労働力確保のための制度でしかないと考えます。

 日本の在留管理政策を見ても、強制退去を命じられた人たちの収容の長期化などが問題になっており、破綻していると思います。

難民条約から撤退するのか

 ――法務省・出入国在留管理庁の「収容・送還に関する専門部会」は15日、長期収容問題などに関する「提言」をまとめました。

 ◆提言の内容は、送還を拒むこと自体を罪としたり、2回目以降の難民認定申請をしている人を送還可能にしたりするものです。収容期限も上限を設けず、収容時などの裁判所による事前審査も受け入れない方向です。

 こうした措置で長期収容者が減るとは思えません。彼らの支援者を共犯者として取り締まることが目的ではないかと考えます。送還を拒むことが犯罪になれば、食料の提供などの人道的支援や同情的な報道は今より難しくなります。

 また、難民認定申請中の送還を可能にすることも大きな問題です。難民認定は2回目、3回目の審査で出たり、裁判で認められたりすることもあるからです。この過程を中断すれば、生命または自由が脅威にさらされるおそれのある領域へ送還しないという国際法上の「ノン・ルフールマン原則」に反します。

 これは、事実上の難民条約撤退に等しく、外国人や難民に厳しい国だと世界に宣言するようなものだと考えます。「提言」の内容は、外国人を温かく包み込もうとする市民社会に対する重大な挑戦とみています。

「人気ある国」日本政府の勘違い

 ――外国人は日本をどう見…

この記事は有料記事です。

残り1561文字(全文2911文字)

【入管・難民問題】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

注目の特集