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SNS時代を逆照射する別役実の劇世界 燐光群が「天神さまのほそみち」上演

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別役実の「天神さまのほそみち」を上演する燐光群の坂手洋二=濱田元子撮影
別役実の「天神さまのほそみち」を上演する燐光群の坂手洋二=濱田元子撮影

 3月3日、劇作家の別役実が亡くなった。コロナ禍で演劇界も身動きがままならない状況が続くが、ようやく劇場再開へ動き出し、ゆかりのカンパニーによる追悼公演「別役実メモリアル」が始まる。まずは燐光群が7月3~19日、下北沢のザ・スズナリで「天神さまのほそみち」(坂手洋二演出)を上演する。不条理でナンセンス、かみ合わない会話の中で、今の社会を予見するかのように鋭く突き刺す別役の劇言語を堪能したい。

一筋縄ではいかないところが魅力

 電信柱が1本、そしてベンチという、おなじみの空間。大学をやめて故郷に帰ってきた青年が、神社の境内でのお祭りで、テキ屋たちのいさかいに巻き込まれていく。1979年に文学座アトリエで初演された。別役作品では、これまで「マッチ売りの少女」と「象」を演出した坂手。「40年前に読んで印象的だった。いつかやろうと思っていました。言葉が強いので、そこが面白いかな。言葉へのこだわりの、頂点かなと思います」と話す。

 初演当時、別役はまだ40代前半。「青春の終わりを意識するシリーズがあって、それが『赤色エレジー』(80年・文学座アトリエの会初演)につながっていく。これも明らかに学生運動のことを書いているんです。60年安保があり、70年代以降暴力的になっていく流れがあって、その時に別役さんは社会人になっているから、どうしていいか分からず、引き裂かれている立場で書かれている。言葉にはみじんも出てこない。そこがすごく難しいです」

 作品を「リバーシブル」という言葉でたとえる。「とてもリアルに生々しく、ある感情を持った人がどーんといるように作ったほうがいいという考えもあるし、そうすると何かがポロポロとこぼれる。抽象的にも見える方法でやらなければならないという、せめぎ合いがある」。その…

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