毎日新聞
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旧ソ連のアネクドート(風刺小話)はいわば20世紀の歴史遺産である。「フルシチョフはバカ」と落書きした男が国家機密漏えい罪で罰せられるというのは傑作の一つだが、この話には後日談があったという▲男が服役中、フルシチョフが英国を公式訪問すると間もなく釈放されたというのだ。つまりは国家機密がもはや機密でなくなったのである。ならば、こちらの人物が「無軌道で驚くほど無知」という内部情報も今や機密でもあるまい▲トランプ米大統領の前補佐官、ボルトン氏が政権の内情を明かした回顧録がきのう発売された。同著では英国の核保有を聞いて驚き、フィンランドはロシア領かと尋ねるなど、米大統領としては何ともトホホな言動が暴露されていた▲だが安全保障を脅かす情報の記述があるという司法省の出版差し止め請求は、裁判所がすでに大量のコピーが流れていると棄却した。トランプ氏の驚きの行(ぎょう)状(じょう)に加え、その独善的外交の相手国もふくめた舞台裏を明かした同著である▲中国主席に「大統領選再選への協力」を懇願するなど、国益より自らの再選が最優先という同著の明かしたトランプ外交だ。また米朝首脳会談では韓国大統領のシナリオに操られたと内幕を明かし、韓国政府からの反論を招いている▲在日米軍の駐留経費負担の4倍増を日本側に求めたとも記され、日本政府がすぐ否定したのも外交のヤブの中の出来事ゆえか。大統領側近の「機密漏えい」のまきぞえを食うのは親トランプ外交の宿命らしい。
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