
新卒時に厳しい雇用環境に置かれた就職氷河期世代(おおむね1993~2004年卒)に対する政府の支援策が本格化している。政府は3年間で30万人の正規雇用を増やすとの目標を掲げるが、「人材不足の職種にあてがうだけ」「今さら遅い」などの批判もある。どのような支援のあり方が望ましいのだろうか。
スキル向上の機会提供を 本田由紀・東京大大学院教授
就職氷河期が生まれたのは、バブル崩壊後の不況期に企業が社員の雇用維持を優先し、新卒の採用数を極端に絞ったのが原因だ。当時企業では団塊世代が高賃金の年齢層にいた上、バブル崩壊直前に過剰に新卒を採用して人件費が重くのしかかり、それを削減するため非正規雇用を増やした。「就職できないのは本人の努力不足」という自己責任論がはびこったが、企業側やそれをほぼ放置した政治の責任であるのは明らかだ。これほどの労働…
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