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詩の橋を渡って

共通の心の中に新鮮さ=和合亮一(詩人)

6月

なぜがあった。

しかしなぜと、

ここにいる誰も、問わなかった。

なぜには答がなかったからである。

 震災や最近のコロナ禍を経験して、心の渇きが言葉に潤されていくことをあらためて実感することとなった。心に留めておきやすいような、例えば金子みすゞや宮澤賢治などの記した、心にふと働きかける短い詩のフレーズが数多くの人々に求められたことは記憶に新しい。長田弘の新刊『誰も気づかなかった』(みすず書房)の帯に「没後五年、詩人がそっと遺してくれた断章を一冊に」とある。断章とは詩や文章の断片のことである。

 福島出身の詩人。母校のとても下の後輩として私は生前に何度か対談をさせていただいた。頁(ページ)を開くと短い詩行が余白と共に語りかけてくれる。静かで親しみ深くて、怜悧(れいり)な印象のあの語り口がそのまま宿っている。「なぜがあった。/しかしなぜと、/ここにいる誰も、問わなかった。/なぜには答がなかったからである。」。詩とは答えのない質問そのものであると、久しぶりにアドバイスをいただいているかのよう…

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