米国の白人警官による黒人男性の暴行死事件を受けた抗議活動が各地に広がる中、ベルギーではかつての植民地主義を想起させる元国王の記念碑の撤去をめぐる議論が再燃している。近代史上まれに見る暴虐な搾取が繰り広げられたベルギーの旧植民地コンゴ民主共和国は、今月30日に独立60年を迎える。
焼かれて赤い塗料を吹き付けられた像が、クレーンでゆっくりとつり上げられてゆく。今月9日、ベルギー北部アントワープ。屋外で放火された元国王レオポルド2世(在位1865~1909年)の像を市が撤去する様子が、世界各地で報じられた。
米国の黒人男性暴行死事件を受けた人種差別抗議デモが広がった5月末以降、ベルギー各地でレオポルド2世の像が相次いで破損されている。「植民地主義と人種差別の象徴」として、元国王像の撤去を求めるオンライン署名が始まり、複数の大学が学生の要望などを受けて構内の元国王像を撤去した。
レオポルド2世はコンゴ(現在のコンゴ民主共和国)を「私領地」とした。現地の人々はゴムなどの資源採取のため、劣悪な環境で搾取された。ノルマを満たさない労働者の手首を切断する残虐行為もあり、この間に伝染病なども含む死者数は数百万人…
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