メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

デジタル税に制裁検討 経済危機深める米の独善

[PR]

 欧州連合(EU)やインド、ブラジルなど10カ国・地域が巨大IT企業へのデジタル課税導入を打ち出したことに対抗し、米国が制裁関税の発動を検討している。

 欧州などは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う大規模な経済対策で財政が切迫している。感染防止のオンライン会議や通販で好調なIT企業から財源を得たい考えだ。これに対し、グーグルやアマゾンなどIT企業が集中する米国が反発している。

 今の国際ルールでは、国外で課税される企業は工場を持つ製造業などに限られる。このため、米IT企業はコロナ前から、国外で巨額の利益を得てきたのに、税金は少ししか払ってこなかった。

 不公平を解消するにはIT企業に課税できる仕組みが必要だ。まして今はコロナ禍から国民生活を守る財源が足りない非常事態である。新ルールの策定が急務だ。

 日米欧と新興国でつくる主要20カ国・地域(G20)は、以前から新ルールを検討してきた。だが欧州などは今回、ルールを待たずに独自課税に踏み切った。ばらばらの課税は企業を混乱させる恐れがあり、控えるべきだ。

 ただ、問題の根源はトランプ米政権の独善的な姿勢にある。

 欧州などが独自課税にかじを切ったのは、今年中の合意を目指してきた新ルールの交渉が、米国の横やりで難航しているためだ。

 米国は昨年末に突然、新ルールに従うかを企業が選べる事実上の骨抜き案を主張し、日欧などの反発を招いた。露骨な自国優先が交渉をこじらせた経緯を棚に上げ、制裁を持ち出すのは筋違いだ。

 米国は最近、新ルールの交渉自体を打ち切る方針も表明した。揺さぶりで課税を撤回させる狙いだが、欧州は態度を硬化させた。脅しは対立を深めるだけである。

 これまでもトランプ政権は各国との貿易問題などで一方的な制裁を発動しては、相手国の報復を招き、世界経済を悪化させてきた。今回、制裁を発動すれば、コロナで深刻な危機に陥った世界経済をさらに混乱させる恐れがある。

 新ルールの取りまとめには各国の協調が欠かせない。日本は昨年のG20議長国として交渉を主導する役割を担った。早急な合意に向けて歩み寄りを促すべきだ。

コメント

投稿について

読者の皆さんと議論を深める記事です。たくさんの自由で率直なご意見をお待ちしています。

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

利用規約

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 関東・東海上空に火球 2日未明、目撃相次ぐ 「爆発音聞こえた」

  2. 東京都で新たに100人以上感染 5月2日以来の3ケタ

  3. 東京アラートって、いったい何? 再び感染増でも発令せず “旧”基準2指標上回る

  4. 日本のコロナ対策は大失敗だったのではないか

  5. コロナ感染止まらぬ新宿・歌舞伎町 区長はすがる思いで大物ホストの携帯を鳴らした

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです