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ヘイトスピーチ

特定の民族や人種など人の尊厳を傷つけるヘイトスピーチは、どんな形であっても許されません。なくすためにはどうする?

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匿名の刃~SNS暴力考

せやろがいおじさんが、ネットの伊藤詩織さん中傷について語りたかったこと

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せやろがいおじさん=オリジン・コーポレーション提供
せやろがいおじさん=オリジン・コーポレーション提供

 沖縄の青い海をバックに、赤いふんどしとTシャツ姿で政治や社会の問題について、ユーモアを交えて解説し、「どない思う~?」と大声で投げかける。「せやろがいおじさん」ことお笑い芸人の榎森耕助さん(32)は、そうした動画を2017年からユーチューブで配信し、チャンネル登録者数は31万人を超える。最近では、ジャーナリストの伊藤詩織さんに対するネット上の誹謗(ひぼう)中傷などについて思いの丈を熱く語り、話題を呼んだ。20分超という異例の長さの動画には、どんな意図が込められていたのか。【聞き手・野村房代/統合デジタル取材センター】

 ――恋愛リアリティー番組に出演していた女子プロレス選手の急死をきっかけに、ネット上の誹謗中傷が問題になっています。このタイミングで、伊藤さんについて取り上げたのはなぜですか。

 ◆これまではネット空間は匿名で自由に相手を攻撃できる「外野」だと思っている人が多く、言葉が過激になりがちだった。伊藤さんは自身を直接中傷した漫画家だけでなく、その投稿を拡散した人も対象に損害賠償訴訟を起こしました。今後は訴訟という形でどんどん球が跳ね返ってくるし、もう安全地帯ではないというふうに、意識をアップデートしていかなければならない。女子プロレス選手の件では、古い意識のままアップデートできていない人の多さが改めて明らかになったのだと思います。

 ――動画の序盤で「なんか違うな」と中断し、大声で叫ぶ従来のスタイルではなく、とつとつと語る様子をそのまま映しています。

 ◆撮影にはいつも台本を用意していて、今回はネット上の誹謗中傷についての意識をアップデートしていこうよ、と訴える内容だったんです。でも話しているうちに、それだけでは「人ごと」として消費されてしまうんじゃないかと考え直しました。

 伊藤さんが提起した問題は誹謗中傷だけでなく、セカンドレイプ、警察やメディアのあり方など多岐にわたりますが、その背景には声を上げる女性を攻撃する日本社会の風潮があると思います。それは僕の中にもあり、そのことに日々向き合っているので、自分自身の問題も含めて思うままに話してみました。そうしたら結果的にこれまでで最長の動画になりました。

 ――榎森さん自身も「ミソジニスト(女性嫌悪者)と批判を受けている」と告白しました。具体的にどんな言動をしていたのですか。

 ◆動画配信を始めた当初は「せやろがいおじさん」ではなく、普通のお笑いをやっていました。その頃のネタで、先輩芸人に「かわいい女の子用意しますよ」と女性をモノ扱いする発言をしたり、後輩芸人を「ブス」といじったりしていました。今でも男性に「おまえ女々しいなあ」と言ってしまうなど、ふとした瞬間に…

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