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新型コロナ マダガスカルの稲作指導 道半ばの帰国に歯がゆさ JICAの専門家・羽原さん 斑鳩 /奈良

マダガスカルの地図を示して説明する羽原隆造さん=斑鳩町龍田西6で2020年6月24日午後3時9分、稲生陽撮影

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 アフリカ東部の島国マダガスカルで、貧困撲滅を目指して稲作の効率化を指導する斑鳩町出身の男性がいる。国際協力機構(JICA)の専門家として2012年から派遣されている羽原隆造さん(45)=一時帰国中=だ。JICAの技術指導は今秋に終了予定で、今は現地政府の技術者にプロジェクトを引き継ぐ「仕上げ」の時だが、新型コロナウイルス対策が政府の財政を圧迫、今後の見通しが立たなくなっている。【稲生陽】

 羽原さん自身も4月、帰国を余儀なくされた。羽原さんは大学卒業後、大手通信教育会社を経て、05年にJICAの青年海外協力隊に参加。東南アジアの貧困撲滅を夢見たが、命じられたのはマダガスカル山間部でのコイ養殖の指導だった。苦労して公用語のフランス語とマダガスカル語を習得、2年間の任期終了後もバイオ燃料開発事業の現地担当として滞在した。

 12年にJICAの専門家となり、同国の主食であるコメの生産効率化を担当することに。「指導すれば収量は上がるのに、圧倒的に指導者が少なかった。国民的俳優を起用してマニュアル映像なども作ったが、貧しい一般農家まで行き渡らなかった」。時間はかかったが、主立った農民を指導的立場につけた農家研修には年間延べ5万人以上が参加するなど成果を上げ、最終年度の今年は政府の技術者らに活動を引き継いで技術指導を終える予定だった。

 しかし、同国でも3月20日にコロナ感染者が発生すると、状況は一変。2日後には緊急事態宣言が出され、羽原さんも帰国を強いられた。農業省の予算も削られ、活動を引き継ぐこともできなくなった。羽原さんの任期は秋までで、現在は実家のある斑鳩町からインターネットを通じて現地とやり取りする日々だが、減っていく残り時間に焦りと歯がゆさを感じている。

 かつてフランス領だったマダガスカルは6月26日、独立60周年を迎えた。独立記念日には現地の友人らを自宅に招き、一緒に打ち上げ花火を眺めるのが恒例だったという羽原さん。「マダガスカルはこの15年でかなり発展したが、貧富の差は広がった。僕にとって貧困撲滅は当初からの夢。任期後のことは決まっていないが、この国に関わり続けたい」。遠い島国を思い、そう決意を込めた羽原さんの言葉には、現場を歩き、そこで暮らしてきたからこその実感が込められていた。

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