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余録

禅の言葉に「好雪片片別処に落ちず」というのがある…

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 禅の言葉に「好雪片片別処(こうせつへんぺんべっしょ)に落ちず」というのがある。好雪とはみごとな雪のこと、そのひとひらひとひらも別の所に落ちていないというのである。「では、どこに落ちているのか」と聞きたくなるのも分かる▲だが、そうたずねた修行僧はいきなり平手打ちされてしまった。禅語辞典によれば、雪の一片一片がぴたりぴたりと落ちるべき所に落ちているというのが先の言葉の意味だという。ひらひら舞う雪も定めに従って舞っているのである▲ならば、咳(せき)やおしゃべりで口から飛び出す無数の飛沫(ひまつ)も「別処に落ちず」というわけか。空気中を舞う粒子の動きを追うシミュレーションは、今日ではスーパーコンピューターによって行われる。新型コロナ対策の頼みの綱でもある▲日本製スパコンとして9年ぶりに世界最高の計算性能を認定されて話題となった「富岳(ふがく)」である。ITや人工知能(AI)分野でとかく情けない話の多い近年の日本には久々の朗報で、すでにコロナ対策研究に活用されているという▲先の飛沫拡散予測はその一つで、電車内やオフィスのシミュレーションが行われた。また治療薬候補となる物質の探索や作用メカニズムの解明においても、その高い計算能力が効果的な新薬開発を加速させるだろうと期待されている▲ウイルスの進化速度は人の100万倍ともいう。人がそれに負けぬスピードで進化させられるのはスパコンに代表される知的能力しかなかろう。宇宙の定めと自らが一体になる禅の境地にもあやかりたい。

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