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渡邊十絲子・評 『彼らを書く』=片岡義男・著

『彼らを書く』

 (光文社・2200円)

 表紙に、bbpという文字がデザインされている。ビートルズ、ボブ・ディラン、プレスリーの頭文字だ。その登場がそのまま社会的な「事件」でもあったようなミュージシャン。この本は、彼らについて書かれた。

 書き方がふつうとは違う。著者は、ビートルズとボブ・ディランとプレスリーに関する映像(いまDVDで見ることができるもの)のうちこの本で語るのにふさわしいものを選び、ひとつひとつの映像に現れた(表れた)彼らを書く、というやりかたをした。3組それぞれに10本前後のDVDが選ばれている。ミュージシャンについてなにかを書く場合、通常は「当人のつくったもの」(多くは「音源」)が批評や感想の対象になる。ところがこの本で著者は、ドキュメンタリーやフィクションとして製作された映像をもとに、他者の目を通したミュージシャン像を対象にしたのである。

 情緒的な要素はそぎ落とされ、「このように言い表すしかない」というところまでつきつめた言葉が書かれている。世の中のものにたとえるなら、ひとつの現場で何人もの人が交代しながら働く場合に書き残される業務日誌の文章のようだ。「なされたこと」を書くその記録は、経験に裏打ちされた判断力をもつプロが、おなじ能力をもつプロに対して「このことは、このように書き表すしかない。あなたもまたこのように書くと思う」という…

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