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堀江敏幸・評 『未来へ 原爆の図丸木美術館学芸員作業日誌 2011-2016』=岡村幸宣・著

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『未来へ 原爆の図丸木美術館学芸員作業日誌 2011-2016』
『未来へ 原爆の図丸木美術館学芸員作業日誌 2011-2016』

 (新宿書房・2640円)

希望の場を守る行動と思索の跡

 原爆の図丸木美術館は、日本画家の丸木位里と、洋画家の丸木俊夫妻が居を構えた埼玉県東松山市に、共同制作の「原爆の図」を展示するために建てられた私設の美術館である。学芸員はひとりしかいない。著者は美大生の頃、学芸員資格取得の研修のためにはじめてこの美術館を訪れた。卒業時、ここで働かないかと声をかけられたものの、「墓守のようにして、ただ歳月が流れてしまうのではないか」との不安から誘いを断ってしまう。その後欧州に遊学し、地方の小さな美術館を回ることで意識が変わり、帰国後みずから採用を願い出た。

 日誌の記述は編年で、固有名には文末に適切な註(ちゅう)が、巻末には言及されている人物の索引と活動記録がまとめられており、資料としても大変有用なのだが、本書の魅力はなによりも行動と思索の跡を刻んだ言葉にある。

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