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宇宙新時代

米国やフランス、日本で相次いで宇宙軍や部隊が設立されている。ビジネス分野では、数万機もの小型衛星を一気に打ち上げ、高速インターネット網を築く動きが始まるなど宇宙をめぐる情勢は急速な変貌を遂げつつある。「ニュー・スペース」時代とも呼ばれる現状と課題を読み解く。

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小惑星リュウグウ「値付け」10兆円 見え始めた宇宙の「ゴールドラッシュ」

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スペースX社が開発した有人宇宙船「クルードラゴン」が、同社のファルコン9ロケットで打ち上げられた=米フロリダ州で2020年5月(NASA提供)
スペースX社が開発した有人宇宙船「クルードラゴン」が、同社のファルコン9ロケットで打ち上げられた=米フロリダ州で2020年5月(NASA提供)

 早ければ秋の臨時国会で、企業が「宇宙資源」を採掘する権利を認める法律案の議論が始まる見通しになった。宇宙資源とは、文字通り、月や小惑星など地球以外の天体にある資源のこと。水や鉄、レアメタルが豊富にあるとされる。米国のベンチャー企業は、日本の探査機「はやぶさ2」が訪れた小惑星リュウグウに10兆円近い「値」をつける。宇宙に多く眠る「金脈」を巡り、米国の西部開拓時代の「ゴールドラッシュ」をほうふつとさせる駆け引きが始まっている。

 今年6月、自民党の宇宙・海洋開発特別委員会(委員長・河村建夫衆院議員)は、宇宙資源開発に関する法律の骨子をまとめた。与野党の合意を得て議員立法で国会に提出し、年内の成立を目指す。法律の最大の特徴は、企業などが宇宙で得た資源を売ったり、利益を得たりする権利を認めること。宇宙資源に関する初の国内法を整え、企業参入を促す環境を作る狙いだ。

 国際的には、宇宙資源に関する取り決めはない。日米を含む世界100カ国以上が加盟する宇宙条約(1967年発効)は、国による天体そのものの「領…

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