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78歳でSNSデビュー フォロワーは5万人 太極拳で悠久の時間を取り込んで

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石神井公園の広場で太極拳をする大崎博子さん(中央)=東京都練馬区で、鈴木琢磨撮影
石神井公園の広場で太極拳をする大崎博子さん(中央)=東京都練馬区で、鈴木琢磨撮影

 夜の飲み歩きに代わって、わが日課となった自宅近くの石神井公園(東京都練馬区)の朝散歩、そこで出会ったひとりが大崎博子さん(87)だ。秋に米寿を迎えるとは信じられないほど元気なおばあちゃん。おっかなびっくりパソコンに触っている私などとは大違い、なんと78歳でSNS(会員制交流サイト)デビューし、ツイッターのフォロワーは5万人を超えているというから驚く。すてきな女性がいるよ、と友人から聞き、興味を抱いていたが、雑木林に囲まれた広場で仲間と太極拳に打ち込む姿に見入ってしまった。

 「どう、あなたもやってみれば?」。手づくりマスク、白髪を薄紫に染めた大崎さん、朝日を浴び、流れてくる中国の音楽に合わせ、ゆっくりゆっくり手を伸ばし、足を伸ばし。もう5年、続けているそうだ。私も見よう見まねで挑戦する。コロナ自粛でこわばった体はなめらかに動いてくれない。マスクがわずらわしい。それでもふーっと息を吐き出すと不思議と落ちつく。じんわり汗がにじみ、体の芯が熱くなる。スポーツジムでは味わえない奥深さ。いつだったか、本場・北京で太極拳を見て、これはただの健康法でなく、悠久の時間を人間に取り込んでいるんだなと感じたのを覚えている。

 1932年、茨城県に生まれた大崎さん、70歳まで結婚式場の衣装アドバイザーとして働いてきた。「携帯電話も持ってなかったのよ。ロンドンにいる娘が、インターネットができたら無料で話せるからと教えてくれて。大好きな東方神起もユーチューブなら見られるし。ノート型のパソコンを買い、年間9800円で学び放題の教室に通った。スマホも手にし、ちょっとつぶやいてみようかしら、とツイッターを始めたの。ちょうど東日本大震災が起き、原発がとても怖くて、その思いをつぶやいたら1日1000人ずつ増えて」。太極拳を終え、公園を歩いて目にする四季の花の写真をアップしたり、脳トレのため通う健康マージャンの成績を記したり。

 夏がくれば、いっそう発信に力がこもる。「そうね、日本が戦争に負けた8月。つい長い文章が書きたくなるの。だって、戦争体験者でツイッターやってる人、少ないでしょ」。玉音放送を女学校の講堂で聞く。12歳だった。昨年の8月15日、こうつぶやいた。<その夜は電灯を覆っていた黒い布を外し、明るいところで夕食を食べる事が出来ました!>。召集令状の写真を添え、またひと言。<赤紙です。これを発行することで、兵士を必要なだけ集めることが出来ました>。さらに<竹槍、薙刀(なぎなた)の稽古(けいこ)、今考えると笑えます><家庭の鍋、釜、貴金属なども回収させられた、父が大事にしてた懐中時計までも><蚤(のみ)とシラミ、不潔そのものでした、洗剤もなかった>などと連続投稿。そして、呼びかけた。<戦争はあってはなりませぬ!>

 「もう先がないでしょ。終活もしているの。遺影も着…

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