毎日新聞
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新型コロナウイルス対策で4月、英議会の下院が約700年の歴史にして初めて、テレビ会議による審議を一部導入した。議員たちは今月に入って議会に戻ってきたが、「時期尚早」との批判も出ているという▲審議では「ズーム」というテレビ会議システムが使われた。シェークスピアの戯曲ハムレットの有名なせりふにかけて「トゥー・ズーム・オア・ノット・トゥー・ズーム」(ズームにするかしないか)と伝える記事もある▲そんな悩めるハムレットのような心境は、英国だけのものではない。日本でも、オンライン国会の可能性が議論されているが、賛否両論あり、実現の見通しは立っていない。そこには憲法というハードルがある▲憲法56条は、国会の議事は「出席議員の過半数」で決めると定めている。こうした「出席」の規定をどう解釈するのか。オンラインによる参加も「出席」と認めるのかどうか。憲法学者の意見も分かれている▲明治憲法をひもとくと、47条でやはり、国会の議事は「過半数」で決めるとあるが、現行憲法と違って「出席議員の」という文言は付いていない。憲法草案を審議した枢密院で、出席は「自明」だからとの理由で、書き込みを見送ることにしたようだ▲明治憲法を起草した伊藤博文も解説書「憲法義解」で、議決に必要な「過半数」というのは、出席議員の過半数のことだと記している。まさか約130年後になって「出席」の意味が議論されることになるとは、伊藤も想像しなかったに違いない。
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