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恋ふらむ鳥は

/38 澤田瞳子 画 村田涼平

 普段仲の良い兄弟が、これほど言い争うのは珍しい。いつしか宴席は水を打ったように静まり、前庭で騒いでいた兵たちまでが、睨(にら)み合う葛城(かつらぎ)と大(おお)海人(あま)を固唾(かたず)を飲んで見つめていた。

 これが若い頃であれば額田(ぬかた)とて心が浮き立っただろうが、なにせ自分も葛城・大海人兄弟もそれぞれいい年の子を持つ立派な中年。加えて大海人が自分に歌を詠みかけようとしたのは宝(たからの)女王(おおきみ)の不機嫌を逸(そ)らすために過ぎず、葛城は自分を宮人(くにん)としか見ていない。それにもかかわらずこんな諍(いさか)いに巻き込まれるのは、真っ平だ。

 だが、額田が二人を制しようとしたその時、「面白いではないか」という宝女王の甲高い声が大殿に響き渡った。

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