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WHOは本当に中国寄り? 宣言が「遅れた」裏事情と米国の対応力低下

2020年1月、中国を訪れ、北京で習近平国家主席と会談前に握手するテドロスWHO事務局長=AP

 世界保健機関(WHO)に新型コロナウイルスの感染発生が報告されてから半年がたつ。全世界で感染者が1000万人を超え、死者数が50万人に達した今、「WHOの初動対応が鈍かったのではないか」との疑念は強まっている。関係者の証言を集めると、パンデミック(世界的大流行)収束に向けた国際協調の軸となるはずだったWHOの限界も見えてきた。【久野華代(パリ)、川上珠実、岩佐淳士】

 「WHOは1月下旬ごろにパンデミック情報を出してもよかったのではないか」。ウイルス研究の第一人者で、1990年代にWHOインフルエンザ・呼吸器ウイルス協力センター長を務めた根路銘国昭氏はそう指摘する。

 WHOが中国から武漢で発生した「原因不明の肺炎」についての報告を受けたのは昨年12月31日。翌日に対応チームを発足させた。だが新型コロナウイルスを巡る「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言したのは約1カ月後の1月30日。3月11日に新型ウイルス流行をパンデミックと認定するまでには、さらに1カ月以上を要している。

 WHOは当初、「ヒトからヒトへの感染は限定的」と説明していた。1月下旬の緊急委員会ではいったん緊急事態宣言を見送り、各国間の渡航制限にも否定的だった。

 WHO関係者は「宣言を出すことの是非を巡り、WHOは内部で意見が分かれた。感染状況のデータが不足しているとして宣言を見送るよう主張する専門家の声も強かった」と明かす。

 だが、「(WHOが中国から報告を受けたとする以前の)昨年12月中に原因不明の感染症の情報は出回っていた」(英国在住のウイルス学者)との証言もある。WHOは「科学的根拠に基づいた情報を世界に提供し続けている」と主張するが、対応がスタート時点で出遅れたとの見方が強まっている。

 こうした「初動の遅れ」の裏に、WHOの「中国寄り」の姿勢があるとして、批判の急先鋒(せんぽう)に立つのが、WHO予算(2018~19年)の約15%を提供する最大拠出国、米国のトランプ政権だ。トランプ大統領は新型ウイルスの発生源とされる中国の情報隠蔽(いんぺい)が感染拡大を招いたと主張。5月、米国のWHOからの脱退を宣言した。中国政府が経済的損失などを嫌い、「WHOに(脅威を矮小(わいしょう)化する)誤った情報を出すように圧力をかけた」と批判する。

 中国から巨額の経済支援を受けるエチオピア出身のテドロス事務局長が記者会見で中国の対応について「透明性が高い」などと繰り返し礼賛したことも米国をいら立たせた。

 日本の新型コロナウイルス対策の政府専門家会議…

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