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恋ふらむ鳥は

/39 澤田瞳子 画 村田涼平

 唯一の例外は、宝女王(たからのおおきみ)の行幸に扈従(こしょう)した少女の日の思い出を詠んだ、「秋の野の み草刈り葺(ふ)き宿れりし 兎道(うじ)のみやこの仮廬(かりほ)し思ほゆ」という一首。

 ただ、秋の野原の草を刈って屋根を葺いた家に泊まった、その兎道(宇治)のみやこの仮小屋が懐かしい――という歌意は平板で、素直で素朴と言えば聞こえがいいが、何の曲もない単純な作であることは額田(ぬかた)自身が、一番よく分かっている。披露したのが秋の宴だったせいで、珍しく人々から褒めそやされたものの、そうでなければ他の歌同様、あっという間に忘れ去られたであろう作だ。

 だが百済(くだら)出兵を寿(ことほ)ぐ歌ともなれば、単純に船出の風景を詠むだけではなるまい。なにせ葛城(かつらぎ)が求めているのは、倭(わ)国のため、国の政(まつりごと)とも関わる公の歌なのだから。

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