うつ病などでメンタル科に通っている患者さんが、ほかのからだの病気にかかることもある。インフルエンザ、胃腸炎など比較的すぐによくなることもあれば、がんなどで手術が必要な場合もある。「先生、どうしよう」と相談されると、つい「だいじょうぶですよ。早くきちんと治療してもらいましょうね」と励ましてしまう。
友だちならそうやって背中を押せば「そうだよね、がんばる」と前向きになれるかもしれない。しかし、相手はふだんから不安や不眠などの症状でつらい思いをしているのだ。「がんばりましょう」と言うと「心配な気持ちを先生にもわかってもらえなかった」とさらに落ち込んでしまうことがある。がっくりと肩を落とす人を見ては、はっとして「ごめんなさい。検査とか手術のことを考えると心細くなりますよね」と伝え、改めて「心配ごとを聴かせてくださいね」と耳を傾ける。
うつ病でないとしても、同じ思いの人はいるだろう。たとえば初期の胃がんや乳がんは、専門医にとっては日常的に目にする病気だ。検査で見つかったときには「手術すればほぼ治りますよ」などとその場で伝えることも多いだろう。しかし、本人にとってはがんになるのも、手術を受けるのも生まれて初めてのこと。「ほぼ治ります」という言葉も気になり「治らない場合もあるのか」と悪い方に考えてしまう。そんなこともあるはずだ。
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