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毎日新聞社とYahoo!ニュースによる共同企画。首都の顔を選ぶ選挙と、東京の課題を分かりやすく伝えます。

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どうなる都財政?コロナで多額の財政出動、都債増発の可能性も

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6月2日に発令された「東京アラート」では都庁舎が赤色にライトアップされた。財政運営も厳しくなることが予想される=2020年6月2日午後11時9分、手塚耕一郎撮影 拡大
6月2日に発令された「東京アラート」では都庁舎が赤色にライトアップされた。財政運営も厳しくなることが予想される=2020年6月2日午後11時9分、手塚耕一郎撮影

 東京都が新型コロナウイルスの対応で、都の「貯金」にあたる財政調整基金を9割以上取り崩し、財政運営のあり方が7月5日投開票の知事選でも争点の一つに浮上している。自粛や休業要請による景気後退で都税収入の落ち込みが予想され、コロナ対策や東京オリンピック・パラリンピックの追加負担などさらなる出費も避けられない。知事は「都の財布」をどうやり繰りするのか、都民の暮らしに影響はあるのだろうか――。

90年代後半、財政再建団体転落の危機に

 かつて都はバブル崩壊後に税収が減っても、東京国際フォーラム(丸の内)や江戸東京博物館(両国)といった「ハコモノ」や道路整備などの予算を、借金にあたる「地方債(都債)」の発行で賄い、1990年代後半に財政再建団体への転落危機に陥った。

 98年、当時の青島幸男知事は同年度の決算が18年ぶりに実質赤字になる可能性が確実になり、「このままでは財政が破綻する」と財政危機宣言を出した(最終的に1068億円の赤字)。財調基金は97年度に10億円まで減っていた。

 都は都債の発行を抑えて歳出を抑制する財政再建を図り、99年に初当選した石原慎太郎知事は「麦飯を食べないで済むには、麦入りご飯で我慢するしかない」と都財政を表現。「高福祉・東京」の象徴とされ、70歳以上の高齢者が都バスや都営地下鉄などを自由に利用できる「シルバーパス」を有料化するなど、福祉関連の聖域にも切り込んだ。

 2008年のリーマン・ショック直後は都税収入が一気に約1兆円落ち込んだが、都債の発行を増やしたり、財調基金を取り崩したりして乗り切った。最近は、景気回復に伴う税収増などに伴って借金返済に当たる「償還」も進み、都債残高は4兆7875億円(今年度)とピークだった01年度の6割まで減少し、財政を立て直した。

コロナ対策に1兆円超を投入

 しかし、新型コロナの対応で状況は一変した。19年度末に9032億円まで積み上げた財調基金を取り崩し、休業要請に応じた中小事業者に支払う「感染拡大防止協力金」などの対策に1兆820億円を投入。現在の財調基金の残高は807億円で、石原都政下で財政再建中だった03年度以来、17年ぶりに1000億円を割った。こうした財政出動について、小池百合子知事は「感染拡大防止対策は切れ目なく講じることで効果が出る。今は正念場で、ここぞという時にしっかり対応することは必要。財源は最大限活用しながら、財政運営に目を配っていく」と説明している。

 では、多額の財政出動による財政悪化で、都民の生活に支障が出るのだろうか。例えば、都営地下鉄や都バスなどは都予算の中でも会計が独立しており、「影響はない」(都の担当者)という。身近な行政サービスの代表格であるゴミ収集は、そもそも市区町村が担っている。

都債増発「都民や企業の負担になる」

 都幹部の一人は都債の発行状況や財調基金残高などに着目し「現時点では市民サービスを切り下げる状況ではない」と語る。都は近年、都債発行を抑え、インフラ整備など使途に縛りがある「特定目的基金」は計約9000億円残っている。「都債を新たに発行する余力は残っており、予算にメリハリをつければ対応が可能だ」という。

 それでも経済の低迷が長引けば、都財政へのダメージは不可避だ。東京は大企業の本社が多く立地することから都税収入は法人2税(法人事業税、法人都民税)の割合が高く、景気の影響を受けやすいからだ。

 今月26日に都が開催した財政に関する有識者との意見交換会では「経済的なダメージは甚大。ワクチン、治療薬がなく感染拡大に留意しながらの活動になるので、(景気の)回復が非常に緩やかになる」(太田智之・みずほ総研調査本部長代理)などと、厳しい経済見通しが示された。財政を担当する武市敬副知事は「都債の増発は不可避だと思っている」とし、一橋大の辻琢也国際・公共政策研究部教授は「同感だ」としながら「後のことを考えると、それが経済負担になり、都民や企業の負担になる」と慎重な検討を求めた。

 今後、都は感染が再拡大する「第2波」に備えながら、国などと合わせて3000億円とも言われる東京オリンピック・パラリンピックの1年延期に伴う追加負担も必要になる。都幹部は「最優先はコロナの感染予防対策と経済対策をちゃんとやることだ。不要不急の事業をやめるとか、できる手段で綱渡りするしかない」と話している。【古関俊樹】

都財政を巡る主要候補の主張

▽山本太郎氏

 地方債を積極的に、段階的に発行する。15兆円程度の都債は十分に消化できる

▽小池百合子氏

 4年間で都債残高を6000億円減らした。賢い支出の徹底、聖域なき事業見直し

▽宇都宮健児氏

 条例を改正して財政調整基金以外の基金を活用。事業を見直して予算を生み出す

▽小野泰輔氏

 事業見直しで行財政改革を徹底する。知事報酬を50%カットする「身を切る改革」

▽立花孝志氏

 都債発行で資金を調達。不足分は国に要求し、都財政のあり方を抜本的に見直す

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