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検証プラス・新型コロナ

米感染爆発なぜ起きた②CDC「世界最先端」のはずが検査キット開発遅れ 「米国第一」で中国から撤収

米ジョージア州アトランタにある疾病対策センター(CDC)の本部=ロイター

 トランプ政権が国家非常事態を宣言する1週間前の3月6日。「検査を受けたい人は誰でも検査を受けることができる。すべて準備はできている」。トランプ大統領は南部ジョージア州アトランタにある疾病対策センター(CDC)の本部を訪れ、豪語した。実際には、全米で広く新型コロナウイルスの検査ができるようになったのは3月中旬以降だった。

 新型コロナウイルスは、1月中に中国から米西海岸に、2月中に欧州から東海岸に流入したと考えられているが、感染経路の把握には時間がかかった。主な原因と考えられているのが、ウイルスを検知する検査キットの開発の遅れだ。

 ワシントン・ポスト紙が報じた厚生省法務官事務所の調査報告書によると、検査キットの開発を担当していたCDC本部の研究施設で1月下旬、キットの作製過程でウイルスが混入する事故が起きた可能性があるという。この時点で作られたキットを使うと、陰性なのに陽性の反応が出てしまう例が多数あった。結局、キット開発は振り出しに戻り、その間に爆発的にウイルスが広まった。

 CDCは「感染症対策で世界の最先端にいる」と自負する組織だ。その意識から検査に関する外国の情報を参考とするのに消極的になり、開発の遅れにつながったともみられている。「干し草の山から、針を探すようなものだ」。米国内の感染死者が10万人を超した直後の5月29日、釈明に追われたCDCのレッドフィールド所長は、ウイルス検査の難しさを強調し理解を求めた。

 CDCの前身組織は第二次世界大戦直後の1946年に設立された。近年では生物兵器への対応なども研究しており、職員1万人以上を抱える。海外にも拠点を設け、感染症対策の専門家らを派遣してきた。そのネットワークが地球規模の「レーダー」の役割を果たし、新しい感染症の流行などをいち早く察知できる組織だと考えられてきた。

 だが、2017年に発足したトランプ政権下では逆風が吹いている。従来の政権が過度に国際協調を重視してきたと考え、米国第一主義を掲げるトランプ政権は、感染症対策でも国際的な協力への予算削減方針を打ち出した。政権が毎年、CDC予算を大幅に削減する予算案を作成すると、議会が強く抵抗することにより、削減を免れる事態が続いてきた。

 オバマ前米政権は14年に西アフリカで起きたエボラ出血熱の流行を受け、国際的な感染症対策に力を入れた。CDCには「世界健康保護計画」のための基金が創設された。トランプ氏はオバマ政権の政策を覆すことにしばしば意欲を示してきた。同計画の基金6億ドル(約640億円)は19年に底を突き、活動は縮小を余儀なくされた。

 この基金を使い、CDCは新たな感染症を発見する目的で、米国の研究者4人を中国に派遣し、中国人スタッフ10人と合わせて計14人で活動させていた。しかし、ファクトチェック・サイト「ポリティ・ファクト」によると、昨年までに米国人は全員が撤収し、中国人スタッフも5人にまで縮小。もし米国人研究者が中国で勤務を続けていたら、新型コロナの情報が迅速に米政府に上げられていた可能性がある。感染拡大後、野党の民主党は国際的協力に消極的だったトランプ政権を批判した。

 ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)には、世界保健担当の部署が置かれていたが、NSCの規模縮小に伴い、18年に廃止されていた。そのため今回の感染爆発では、ウイルスに関する情報がホワイトハウスの高官に速やかに上がらず、対応の遅れを招いたとも指摘されている。…

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