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検証プラス・新型コロナ

米感染爆発なぜ起きた④マイノリティーを直撃 社会のひずみが起こした「負の連鎖」

多くの感染者や死者が出たブロンクス地区で無料の検査を受けるよう通行人に勧めるシスター(中央)=米ニューヨークで2020年6月5日、隅俊之撮影

 新型コロナウイルスの感染爆発は、全米で黒人や中南米系などマイノリティー(人種的少数派)を直撃した。アメリカン・パブリック・メディア(APM)研究室の分析によると、人種別の人口10万人当たりの新型コロナによる死者数は、黒人が65.8人と、白人の28.5人などと比べ突出している。また、6月23日現在、総人口の12%の黒人が、死者数では24%を占める。一方、総人口の62%の白人は死者数では52%と人口比を下回る。

 西部カリフォルニア州では、人口の39%と最多の中南米系が感染者数では57%に上る。人口の37%の白人は感染者数の17%にとどまる。地区別の人口当たりの感染者数を見ると、上位には中南米系の集住地区が少なくない。

 マイノリティーの被害が大きかった背景には、人種間の経済格差があるとみられる。都市部を中心に低賃金の仕事に就くマイノリティーが多い。彼らは外出規制中でも、感染リスクにさらされながら出勤せざるをえなかった。また、米国には日本のような国民皆保険制度がない。

 中南米系移民の支援団体「ラティーノ・コミュニティー・ファンデーション」は「中南米系らマイノリティーは無保険の人が多い上、感染しても高額な治療費を恐れて病院に行きたがらないので重症化のリスクが高い」と指摘。「さらに外出規制に伴う飲食店などの閉鎖により、多くのマイノリティーが失業し、貧困が悪化している」と負の連鎖を取り上げる。

 先住民の被害も深刻だ。国内最大の先住民居留地ナバホ・ネーションでは6月27日現在、感染者数が7414人。人口10万人当たりでは4268人となり、全米50州で最多のニューヨーク州(2042人)を大きく上回る。

 ナバホでの感染拡大の原因として、3分の1の住民が水道を利用できずに手洗いが難しいことなどが挙げられている。また、先住民は貧困に起因する心臓病や糖尿病などの罹患(りかん)率が高く、感染で重症化しやすい上に、広さ約7万平方キロに及ぶ居留地には医療施設が12カ所しか設置されていない。そのため、紛争地などで活動する国際NGO「国境なき医師団」が支援に乗り出す事態となった。

 人種間などの格差の拡大と、貧困層を救うセーフティーネットの脆弱(ぜいじゃく)さ。米国が抱える社会のひずみが、世界最悪の感染被害の一因になったと考えられる。さらに、5月25日に中西部ミネソタ州で起きた白人警官による黒人暴行死事件を発端にして、全米に広がった抗議デモは、黒人差別と警察の暴力への反発だけではなかった。コロナ禍で浮き彫りになった不平等に対する怒りも巻き込み、人種の違いを超えた歴史的な規模に膨れ上がった。

 黒人社会を研究するハーバード大のデビッド・ウィリアムズ教授(社会学)は「新型コロナと抗議デモで深刻な格差への認識が広がった今こそ、長年続く不平等を正す機会とすべきだ」と訴える。(この特集は隅俊之、古本陽荘、高本耕太、福永方人が担当しました。)…

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