来春卒業する高校生を採用したい企業から学校への求人申し込みが1日解禁され、3年生の就職活動がスタートした。10月16日に始まる採用選考に向けて企業訪問などを重ね就職先を絞っていくが、2020年は新型コロナウイルス感染対策による休校の長期化や夏休みの短縮で準備時間が不足。感染拡大防止で資格試験が相次ぎ中止された影響で、就職のために予定していた資格を取得できなくなった生徒もいる。
「通常なら今の時期には生徒を本気にさせていないといけないが、それができていない」。3年生の約2割に当たる約130人が就職を希望している福岡工大城東高(福岡市東区)の進路指導主事、清野潤二教諭(54)は現状への不安を語る。6月1日から授業は再開したが、例年4月から5月にかけて実施する進路指導や就職ガイダンスが大幅に遅れ、6月中に実施予定だった就職模試も7月にずれ込んだ。
高校生の就職活動は、一定時期までは1人1社応募が原則だ。高校では一般に、3年生に進級すると進路指導や保護者向けの説明会などを開始し、7月1日以降、企業からの求人票が届くと就職活動が本格化する。生徒たちは夏休みも使いながら企業訪問などをして就職先を絞り込んでいく。
20年は新型コロナの影響を考慮し、企業への出願書類の提出開始が10月5日(沖縄は9月30日)、採用選考・内定の解禁が10月16日と、いずれも19年より1カ月遅くなった。ただ、休校による授業の遅れを取り戻すため夏休みを短縮する動きも広がり、就職活動に割ける時間は限られる。
私立の福工大城東高の場合は、通常3週間の夏休みが12日間に。授業と並行して企業研究や企業訪問、面接・採用試験の対策を進めていくという。事務職を希望する3年の女子生徒(17)は「まだ具体的な業種も決めきれていない。いい会社に就職できるように勉強も頑張らないと」と焦る。
私立飯塚高(福岡県飯塚市)も夏休みは17日間。進路指導部の井川剛史教諭(46)は「例年は夏休みにしていた履歴書の書き方や面接の指導などを9月以降の6時間授業後にしなければいけなくなった」と話す。
同校では、新型コロナの影響で6月の簿記検定試験が中止になったことにより、漢検や英検に切り替えて勉強を始めた生徒もいるという。鹿児島県内の工業系の高校では、第2種電気工事士の試験を目指していた3年生が資格取得できなくなり、進路指導の担当教諭は「履歴書に書けず不利になるのでは」と心配…
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