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中村文則の書斎のつぶやき

「ステイホーム」と言えず

中村文則さん=宮間俊樹撮影

 新型コロナウイルスの流行で緊急事態宣言が出されていた時、どうしても「ステイホーム」と言えなかった。

 内心では、今の時期はウイルスの流行を封じ込めるため「ステイホーム」、つまり皆が家にいて、活動は自粛するべきと思っていた。でも人々が自粛すれば、職業によっては生活できなくなる人たちが出てくる。もしそういった人たちが僕の読者だったらと考えた。「ステイホーム」という「正しい言葉」に、彼女ら、彼らが追いつめられてしまう恐れがあると思ったのだった。

 大学を卒業し、東京でフリーターをしていた頃、僕の月収は大体11万円ほどだった。当時、もしコロナのような流行があったらどうなっていたかを想像した。

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