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社説

強制不妊手術で判決 被害者の実情見ていない

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 旧優生保護法に基づいて不妊手術を強制された男性が国に賠償を求めた裁判で、東京地裁は請求を棄却する判決を言い渡した。

 判決は、男性が法律の対象にはならないのに、違法に手術を受けさせられ、憲法13条で保護された「子を持つかどうかを決める自由」を侵害されたと認定した。

 一方で手術があったのは60年以上前であり、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する除斥期間を適用して訴えを退けた。1996年には、法改正で強制不妊手術の規定が削除され、提訴が可能な状況になったと指摘した。

 しかし、不妊手術の強制は、国策による人権侵害だ。時間が経過しても国の責任は消えず、賠償請求に期限を設けるのは、被害救済の観点から問題が大きい。

 除斥期間を適用するとしても、被害者の実情を反映した判断とはいえない。

 不妊手術が行われた事情を理解していなかった人は多く、手術されたことすら知らなかった例もある。偏見を恐れ、被害を訴えなかった人も少なくない。

 国が過ちを認めて、謝罪したのは、ようやく昨年になってのことである。

 今回の判決は優生保護法そのものの違憲性には言及しなかった。憲法違反と明言した昨年の仙台地裁判決より、後退している。

 国は長らく、不妊手術は適法に行われたとの姿勢を崩さず、被害の実態調査や補償をしてこなかった。国連機関の勧告にも、耳を貸さなかった。

 にもかかわらず、法改正後に政府や国会が被害者の救済措置を取らなかったことは違法でないと、今回判断された。障害者差別につながる優生思想自体は、国がつくり出したものではないことなどを理由に挙げた。

 だが、優生保護法が障害者への偏見を助長したのは間違いない。差別は今も根深く残っている。

 2018年以降、各地で裁判が起こされ、昨年、救済法が施行された。とはいえ、一時金の支給は進まず、一律320万円では不十分との批判が強い。

 国会は優生保護法の立法経緯や被害状況の調査を始めた。国も司法も被害者に向き合わなければ、真の救済は実現しない。

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