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私の社会保障論 マスクと感染リスク=千葉大予防医学センター教授・近藤克則

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 ようやく全国で移動制限が解除された。まだマスク着用など、感染対策をする新しい生活様式が必要とされる。一方で、熱中症が心配される夏である。「マスクをしないとダメなの?」と思っている人は多いだろう。

 その答えは、立場によって違う。マスクの効果を調べた動物実験で、感染リスクが半分に抑えられたという。だから感染症が専門の立場からは、リスクを下げるには、マスクの着用が必要だとなる。一方で、熱中症が専門の立場からは、マスクをつけた状態で運動すると、心拍数、呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇したという報告がある。だからマスクをはずして休憩することも必要だという。結果として、科学的根拠に基づくべき厚生労働省や政府の立場からの指針は、両論併記となる。「外してよい」などと発表し、万一、感染者が出たら責任を問われてしまうからなおさらだ。

 フェーズ・局面の視点から考えても、春先と今とは違う。春先には感染力の強さも感染ルートも、有効な対策も未知で、新規感染者数も1日で700人、入院者数も1万人に近づきベッドが逼迫(ひっぱく)し、緊急事態宣言が全国に拡大された。しかも、無症状の人にも感染力があるとわかった。だから拡大期には無症状の人もマスクをして、感染リスクの抑制が優先されるべきだ。

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