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コロナと労災認定 周知徹底し幅広い救済に

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 新型コロナウイルスに感染した医療従事者らに対し、労災認定の基準が緩和された。

 感染経路が不明でも、仕事との関連があれば、厚生労働省は原則として労災を認める。通常の感染症は感染経路の特定が必要だが、新型コロナは感染しても無症状のケースがあり、経路の特定が難しいからだ。

 患者の命を守る医師や看護師、高齢者の世話をする介護職員が安心して働けるようにするには、備えに万全を期す必要がある。積極的に労災と認定するのは当然のことだ。

 緩和の対象にはバスやタクシーの運転手、スーパーマーケットの店員、保育士らも入る。仕事で不特定多数の人と間近に接する機会が多いことに配慮した。

 労災制度は仕事中にけがや病気をした場合、医療費や休業補償などが給付される仕組みだ。正社員だけでなくパートやアルバイトにも適用される。

 感染拡大から4カ月を超え、国内の感染者は1万8000人以上に上るが、労災の申請数は少ない。6月末までに申請があったのは433件で、このうち認定は54件にとどまっている。

 申請が少ないのは、認定基準の緩和について理解が広がっていないためではないか。

 厚労省はホームページなどで内容を説明しているが、周知はまだ不十分だ。基準緩和の対象になる業種でも、自分が含まれるかどうか分からず、迷っている人もいるだろう。不安や疑問に答えられるよう相談体制をさらに充実する必要がある。

 集団感染が判明している医療機関などには直接働きかけ、申請を促すことも大事だ。

 「申請したくても職場の協力が得られず困っている」という相談が市民団体に寄せられている。本人が労災の手続きをするのが難しい場合、事業主は申請の手助けをすることが法律で義務づけられている。

 厚労省は事業主に対し、労災申請に協力するように強く指導することも必要だ。

 認定基準の緩和が「絵に描いた餅」にならないよう、救われるべき人に手を差し伸べる労災制度にしていかなくてはならない。

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