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性暴力で妊娠、中絶手術に「加害者の同意」が必要? 弁護士ら改善求める

日本医師会から都道府県医師会への通達。「トラブルを避けるためにも弾力的に運用する必要があるとの意見が出された」との記載がある=2020年7月3日、中川聡子撮影

 性暴力を受けて妊娠した女性が、中絶手術を依頼した医療機関から、手術に「加害者の同意」を得るよう求められるケースがあることが弁護士らの調査で分かった。この「同意」がないとして複数の病院で手術を断られた女性もいる。弁護士団体「犯罪被害者支援弁護士フォーラム(VSフォーラム)」は6月、日本医師会に対し、こうした運用を改めるよう要望書を提出。近く厚生労働省にも申し入れを行う方針だ。なぜ、加害者の同意を求める医療機関があるのか。取材を進めると、母体保護法と、国や日本医師会の通達を巡って、医療現場が対応に苦慮している現状が見えてきた。【中川聡子/くらし医療部】

 VSフォーラムによると、今年、ある地方でレイプ被害に遭った女性が、性犯罪被害者のワンストップ支援センターと警察に相談し、警察に被害届を提出。妊娠が分かり、地元の病院で中絶手術を依頼したが、病院が「相手方(加害者)の同意」を手術の条件としたため、受けられなかった。他の病院にも同様の理由で手術を断られ、複数の病院に打診した結果、やっと手術可能な病院が見つかったという。

 この女性の関係者から相談を受けた仙頭真希子弁護士が、VSフォーラムの上谷さくら弁護士に協力を依頼し、支援団体や医師らにヒアリング。加害者の同意がないことを理由に手術を拒否された▽手術同意書に(加害者の代わりの)第三者の名前を書かされた--という事例が複数確認され、6月26日、日本医師会へ改善を求め要望書を出した。

 要望書は「母体保護法によると、レイプによって妊娠した被害者の中絶の場合は、本人の同意が要件だ」と指摘。医師会に対し、▽加害者の同意は必要ないことを医師に周知徹底する▽加害者の同意がないことを理由に手術を拒否する病院の実態を全国調査する--などの対応を求めている。

 上谷弁護士によると、被害女性が加害者の同意なしで手術できる病院を探し回って、中絶可能な妊娠週数を超えそうになったケースもあったという。「手術拒否やたらい回し自体がセカンドレイプそのものであり、母体を危険にさらす行為だ」と訴える。

 母体保護法14条は、中絶手術をできる対象や条件を定めているが、対象の一つに「暴行若しくは脅迫によってまたは抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫(かんいん)されて妊娠したもの」を挙げる。同条は「医師が本人と配偶者の同意を得て中絶できる」と定めているが、こうした場合に、子の父にあたる加害者から同意を得ることを求めた規定などない。ちなみに配偶者の行方が分からない場合などには「本人の同意だけで足りる」とある。ここでいう配偶者とは結婚や事実婚での婚姻関係にある人を指す。

 ではなぜ、加害者の同意を必要とする医療機関があるのか。

 現時点で14条の解釈について厚労省が最後に出した通知は1996年9月25日付「母体保護法の施…

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