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時の在りか

「靖国」など日本の戦後をテーマに取材を続けている伊藤智永編集委員が、政治を「座標軸」に鋭く論じます。

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コロナに弱い側用人政治=伊藤智永

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安倍晋三首相(左)と今井尚哉首相秘書官兼首相補佐官=川田雅浩撮影
安倍晋三首相(左)と今井尚哉首相秘書官兼首相補佐官=川田雅浩撮影

 広告大手の電通が、あの手この手で国の巨大事業を貪欲に受注してきた商法に感心していたら、榑谷(くれたに)典洋副社長が6月8日の記者会見で、

 「電通は広告会社ではない。ソリューション提供会社だ」

 と説明するのを聞いて合点した。先日、政府高官から同じカタカナ語を聞いたばかりだったからだ。

 流行のビジネス用語で「問題解決」の意味らしい。高官は、経済産業省の新原浩朗経済産業政策局長が官邸主導の政策責任者として重用されてきた理由を語る中で口にした。

 「政策のストーリーは誰でも作れる。官邸に売り込む役人はたくさんいるけど、肝心なのは出口の執行だよ。新原氏はソリューションを考えた上でストーリーを作れるから、今井(尚哉(たかや)首相秘書官兼首相補佐官)さんが高く評価してきた」

 新原氏は昨年、元アイドルの女優・菊池桃子さんとの結婚が話題になった以外一般には無名でも、霞が関で知らぬ者はいない。何しろ2014年以降、安倍政権の看板政策の大半をとりまとめたスーパーマンなのだ。「1億総活躍」「働き方改革」「人生100年時代」……。

 新型コロナウイルス対策で、中小零細企業に現金を支給する政策も、コロナ自粛で窒息寸前の観光業を支援する大キャンペーンも、「電通を使えばすぐできます」というソリューションを信じたから、官邸はゴーサインを出した。「解決」どころか「停滞・混迷・紛糾」に陥ったてんまつはご承知の通り。行政の執行を民間に丸投げしたツケである。

    *    *

 第1波コロナ対策の評価はいまだ定まらない。政治家の方針変更や感染症専門家の反省を聞くと、「一律8割接触削減」や「新たな生活様式」の呼びかけは前のめり過ぎたという意見が優勢になりつつあるようでもあれば、なおさら戸惑う。

 一つはっきりしたのは、「1強」政権の…

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