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社説

石炭火力100基の休廃止 脱炭素へさらなる戦略を

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 世界的な気候危機の回避へ「脱炭素」に本気でかじを切るのか。日本の姿勢が問われる。

 政府は二酸化炭素(CO2)排出量が多い旧式の石炭火力発電所の9割を2030年度までに休廃止すると表明した。100基程度が対象となる見通しだ。

 電力供給の減少分は太陽光など再生可能エネルギーや原発で補う計画だ。一方、26基ある新式の石炭火力は維持・拡充する方針で、海外輸出も続けるという。

 11年の東日本大震災後、原発再稼働が難しくなった日本は石炭火力への依存度を高めた。総発電量に占める割合は3割超にのぼる。

 対照的に、世界では温暖化防止の「パリ協定」が16年に発効したのを機に脱炭素の流れが加速した。欧州各国は相次いで石炭火力全廃を打ち出した。欧米のファンドや銀行は石炭火力関連への投融資を取りやめている。

 大震災から9年たっても石炭依存がやめられない日本は世界で厳しい批判を浴びてきた。産業界では「政府が温暖化防止に後ろ向きな姿勢のままでは、海外とのビジネスに悪影響が及ぶ」と懸念する声も出ていた。

 政府はようやく政策を見直すが、全廃には踏み込まなかった。梶山弘志経済産業相は「資源のない日本には多様な電源が必要だ」と強調する。だが、温存する新式の石炭火力もCO2排出量は旧式に比べ最大で3割程度少ないだけだ。国際社会の理解が得られるかは分からない。

 電力の安定供給との両立も大きな課題だ。安倍政権は原発回帰をにらんでいる。しかし、東京電力福島第1原発事故に伴う国民の不信は根強い。再稼働は今後も難航が必至で、石炭火力廃止の穴は埋められそうにない。

 再エネは発電量が天候に左右される弱点がある。フル活用するには、蓄電池の技術革新や送電網の高度化など国を挙げた取り組みが不可欠だ。当面はCO2排出量が少ない液化天然ガス(LNG)火力の拡大でしのぐことになる。

 来年改定するエネルギー基本計画では、脱炭素の将来像を示す必要がある。再エネを基幹電源にする目標時期を定めて官民の力の結集を図るなど、さらなる戦略が求められる。

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