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「俺たちの船は陸に上がってしまったのか?」。2017年6月22日、ロシア沿岸の黒海を航行していた貨物船の船長は目を疑った。操舵(そうだ)室にある全地球測位システム(GPS)が、船が45キロも離れたロシア領内のゲレンジーク空港にあると示していたからだ。故障を疑い、付近を航行する3隻の船と連絡を取り合ったが、いずれの船にも同じ現象が起きていた。
これは、ロシアが新たに導入した「スプーフィング(なりすまし)」と呼ばれるサイバー攻撃の一種だ。地球から2万キロも離れた人工衛星から送られてくるGPSの電波は極めて微弱だ。そこで、カーナビなどの受信機周辺で強力な偽電波を出すことによって相手の位置情報をだますものだ。GPSの異常が報告された場所には、必ずと言っていいほどプーチン大統領の姿があり、大統領警護隊が首脳へのドローン(無人機)攻撃を防ぐため…
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