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岩間陽子・評 『ドイツ人の村 シラー兄弟の日記』=ブアレム・サンサール著、青柳悦子・訳

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『ドイツ人の村 シラー兄弟の日記』
『ドイツ人の村 シラー兄弟の日記』

 (水声社・3300円)

悲劇がつながる父親探しの旅

 時々、南米でナチの残党が見つかったというニュースを聞くことがある。何十年もたって発見されるかつての犯罪者たち。一体彼らは、そのような遠く離れた地で、どんな暮らしを送っていたのか。

 『ドイツ人の村 シラー兄弟の日記』という題名は、意図的にヒントを与え、読者を誘い込む。物語の語り部は、マルリク・シラー。アルジェリア人の母とドイツ人の父との間に、アルジェリアの片田舎、地図にも載らない、この世の果てのような辺鄙(へんぴ)な場所にあるアイン・デーブという村で生まれた。兄ラシェルは、一九七〇年に七歳の時に、一人でフランスに渡った。マルリクは、一九八五年八歳の時に、迎えに来た兄についてフランスへ渡った。二人はパリ郊外の団地で、アリーおじさんとサキーナおばさんに育てられた。母は三度ほど訪ねてきたが、父は一度も来なかった。

 聡明(そうめい)な兄は勉学で身をおこし、大学を出て多国籍企業に就職した。弟の方は、学校から落ちこぼれ、団地仲間とつるんでろくに働きもせず、ぶらぶらしている。団地は最悪ランクに指定される治安の悪さだ。アフリカの村のように、喧嘩(けんか)も殺し合いもあるけど、最後はみんなで火を囲んで仲直りするようなところだった。

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