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「重文級」なのに… 文化財に30年指定されない鉄剣 浮かぶある人物

稲荷台古墳から出土した王賜銘鉄剣。表裏に文字が刻まれていることが確認されている=市原市教育委員会提供

 1970年代に千葉県市原市の古墳から出土し、80年代にX線鑑定で銘文が確認された鉄剣がある。王が臣下に「下賜」したことをうかがわせる銘文から「王賜銘鉄剣」と呼ばれ、「重要文化財級の価値がある」として新聞の1面も飾った貴重な出土品。ところが銘文確認から30年以上過ぎた今も、国の文化財指定の手続きを受けた形跡がない。背景を調べてみると、出土品を巡るさまざまなトラブルが浮かび上がってきた。【小鍜冶孝志、野呂賢治】

 王賜銘鉄剣は市原市の稲荷台1号墳で見つかった。87年に国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)で鑑定したところ、約1500年前に作られたとみられ、表裏に刻まれた文字の中に「王賜  敬」という刻銘もあった。88年1月11日の毎日新聞は1面トップでこう伝えている。「千葉・市原の稲荷台古墳 最古の銘文入り鉄剣」「『王賜』など文字解読」。剣を与えた王は誰なのか。古墳時代の王権の実像に迫る手がかりとして脚光を浴びた。

 市原市によると、各地の古墳などに残された銘文入りの鉄剣・刀で、王賜銘鉄剣と同様の歴史的価値があるのは他に9本あり、いずれも重文か国宝に指定されている。最近では、福岡市の元岡古墳群G群6号墳出土の「庚寅銘大刀」が刻銘の確認から約8年後の2019年、重文に指定されている。それなのに、市原の王賜銘鉄剣は国の指定を受けていない。

 例えば重文は、美術工芸品や考古資料などのうち特に学術、歴史的に価値が高いものについて、文化審議会が文部科学相に答申し、指定が決まる。重文以上の指定を受ければ保護のための補助が出るほか、公開の義務も課される。指定に向けては調査報告書が重要になるが、王賜銘鉄剣に関しては今も報告書がない。

 なぜか。経緯をたどってみると、王賜銘…

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