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詩歌の森へ

句集『火炎樹』の魅力=酒井佐忠

 長野県松本市で「信濃俳句通信」主宰として活躍する佐藤文子が25年ぶりの句集『火炎樹』で俳句四季特別賞を受賞した。佐藤は、穴井太に師事。穴井は、石牟礼道子と出会い、俳句の世界に誘った人でもある。それぞれの表現方法は違っても、俳句に向かう深い精神性に変わりない。集名の「火炎樹」はベトナム旅行の途次に公園で出会った花。大樹でありながら華やかな赤の底に潜むささやかさに惹かれたのだという。

 <火炎樹や愛されぬまま髪を梳く><花芯まで覗(のぞ)かれてをり夜の桜><倒木の紅葉一枚生きてをり>。その句集には「火」や「花」をテーマにしたものが多いが、「心の風景」にも挑戦した句が魅力的。一方、<風が泣く夜はみかんとチェーホフと>の句も。「桜の園」や「三人姉妹」で知られるチェーホフは、虚無的な憂愁を込めつつ人間の未来への確信をこめた作家で私も敬愛している。

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