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岡崎 武志・評『薬物依存症』『流星シネマ』ほか

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今週の新刊

◆『薬物依存症』清原和博・著(文藝春秋/税別1500円)

 清原和博は現役時代、同僚が試合で折ったバットを屑(くず)籠に投げ込むのを見て嘆いた。テープで補修してサインを入れたら、少年ファンが喜んでくれた。それを聞いた二岡智宏は、次の打席でホームランを打つ。清原は大いに喜んだ。

 そんな純情な野球大好き人間が過ちを犯した。2016年2月、覚せい剤取締法違反で逮捕、執行猶予付きの有罪判決が出た。『薬物依存症』は懺悔(ざんげ)の書。現役引退で生まれた心の隙間(すきま)を、最初は酒、次に白い粉が埋め、溺れ、転落していった。

 家族を失い、野球界からも離れ、死を考えるうつ病と依存症との闘いが果てしなく続く。懇意にする僧は「死んでからの方が苦しいんです」と諭した。苦しみとの闘いと失ってから気付いた多くのものについて正直に語られる。立ち直らせたのは一本のバットだった。

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