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目は語る

7月 ピーター・ドイグ展 絵画界の「恐るべき子供」=高階秀爾

 かつてアンドレ・マルローはフォークナーの小説について、「ミステリー小説に入り込んだギリシャ悲劇」と述べた。同じような言い方でピーター・ドイグ(1959年生まれ)の絵画は「ミステリー絵画に入り込んだギリシャ美学」と言うことができるであろう。この場合「ギリシャ美学」とは、シンメトリーや比例関係に基づく構成的秩序のことである。

 例えば比較的早い時期の風景画「天の川」。それは、広大な星空の下に拡(ひろ)がる夜景を描き出したものだが、画面は、地上の樹木や星空の反映の間に小舟が一艘(そう)、ポツンと浮かぶ下段の水面と、さまざまの樹木が立ち並ぶ中段の地上、それに天の川が拡がる上段という上中下3段の帯状部分の重なりによって構成される。

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